INTERVIEW
テレ東が配信の概念を変える?エンタメを世界に発信「ミクサライブ東京」誕生
今井豪 (株式会社テレビ東京 ビジネス開発局次長)

INFORMATION

2020.05.20

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東京・池袋に開設されるLIVEエンターテインメントビル「MixaliveTOKYO(ミクサライブ東京)」。出版社やテレビ局など、エンターテインメント事業を手掛ける複数社が集まり、それぞれの強みを生かしたコンテンツ配信やコラボレーションイベントを仕掛けていくという。

そこに放送局として唯一参加しているのが、テレビ東京だ。尖った視点、わが道を行く企画で存在感を示すテレ東は、この場所で何を始めようとしているのか? 責任者の今井豪氏に話をうかがうと、メディアを横断する新しいエンターテインメントのかたち、さらには池袋の街を巻き込む壮大な計画まで、さまざまな構想があることがわかった。その実現に向けた取り組みの裏側や、テレ東に根づく常識にとらわれない企画づくりの考え方などに迫る。

取材・文:榎並紀行

(※本取材はオンラインで行い、写真は提供画像を使用しています)

テレビではできなかった世界を実現。「Mixalive TOKYO」の狙いとは?

HIP編集部(以下、HIP):「Mixalive TOKYO(以下、Mixalive)」とは、どういった施設なのでしょうか?

今井豪氏(以下、今井):年間365日、さまざまなイベントや配信などを行う、複合型のエンターテインメントビルです。池袋駅東口のサンシャイン通りにあったシネコン(旧シネマサンシャイン)を一棟まるまるリノベーションしていて、各フロアを、講談社さん、キングレコードさん、ブシロードさん、テレビ東京などが受け持つ施設になります。

各社がそれぞれの特徴を出しながら、またコラボレーションしながらコンテンツを発信していく場所ですね。本来は2020年3月にグランドオープン予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の拡大状況を鑑み、始動を見合わせています。

「Mixalive TOKYO」外観のイメージ画像(画像提供:テレビ東京)

HIP:テレビ東京は主に4階5階の「Studio Mixa」を運営するということですが、こちらはどんな機能を備えていますか?

今井:スタンドで450人、着座で250席という、中型の劇場スペースです。一言でいえば、「何でもできる」フロアですね。番組放送やライブ配信ができる機能もありますし、フロア全体を使った展覧会やワークショップなど、さまざまな利用ができると考えています。

また、建物全体でソフトバンクさんと契約を結び、全館5Gの環境が整っているのも大きな特徴のひとつ。そのため、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、MR(複合現実)を含む3D技術の総称であるx R事業の実験的な試みもできます。たとえば、VRで池袋全体や、海外とつながるイベントなど、デジタルを駆使して「テレビではできなかった世界」を次々と見せられる場所にしていくつもりです。

HIP:もともとは、主体事業者である講談社から声がかかったそうですね。テレビ東京は、同社原作のアニメ作品も数多く放送していますが、Studio Mixaで発信するコンテンツもアニメ関連のものが中心になるのでしょうか?

今井:おっしゃるとおり、もともと講談社さんとテレビ東京はアニメの制作で非常に深い関係性がありました。また、池袋には「アニメの聖地」という特色もあります。そのため、Studio Mixaでもアニメを核にしたイベントやコンテンツを数多く発信していくことになるでしょう。年間3割程度はアニメ関連のものになると思います。裏を返せば、残り7割はアニメ以外のコンテンツということになりますね。

テレビ東京が運営する4F「Studio Mixa」のイメージ画像(画像提供:テレビ東京)

HIP:アニメ以外では、どんなコンテンツをお考えですか?

今井:たとえば、報道局と組んで『Newsモーニングサテライト』や『特命!池上ベンチャーズ』といった番組とコラボしたイベントなどを考えています。若い人に経済のことを知ってもらうイベントだったり、高校生を集めて起業のワークショップをやったりするのもいいかもしれません。

あるいは、小学生向けに「お金について教える学校」みたいな試みも面白いと思います。既存のコンテンツを使い、放送以外の手段で価値を生み出していく、あるいは地上波放送ではできないようなことを試せる場所になるのではないでしょうか。

異業種の7社が集結。協業やコラボで新しいコンテンツを生み出す

HIP:Mixaliveの運営には、異業種の全7社が集結しているそうですね。他社とのコラボレーションによる相乗効果も期待していますか?

今井:じつは、もっとも期待しているのはその相乗効果です。カードゲームやゲームソフトを開発しているブシロードさんが同じフロア、別の階には講談社さんや2.5次元のイベントを手掛けるネルケプランニングさんがいらっしゃいます。共通のテーマを決めフロアをまたいで何かをやるのもアリですし、演者さんだけ揃えて別々の切り口の催し物を行うのも良い。

また、キングレコードさんやUUUMさん、ムービックさんを含めたすべての企業が一緒に何かを仕掛けていけば、まったく新しい文化やジャンルを生み出すことも可能だと考えています。池袋から、大きな文化のうねりを起こしていけるのではないかと思い、いまからワクワクしています。

HIP:共同でコンテンツをつくるような、具体的な動きはありますか?

今井:参加企業が定期的に集まり、会議を行っています。まだ詳細は明かせませんが、具体的に進んでいるおもしろいコラボ企画もたくさんあります。ものすごく言いたいんですけどね(笑)。

HIP:楽しみです。一方で、異業種と組む難しさは感じますか?

今井:業種は違えど、皆さんエンターテインメントをつくっている企業です。お客さんに喜んでもらうといういちばんの目的が共通しているので、難しさはあまり感じませんね。また、テレビ東京はもともと数多くのクロスメディアをやってきたので、他社さんと組むことに慣れています。

それこそアニメなどは、制作委員会をつくって他社と一緒に利益を生み出していくケースが多く、今回のMixaliveでも同じことがいえるのではないかと。そういった意味では、新たな協業企業と組むことで、いままでにないアイデアが生まれると期待しています。

斬新なアイデアで街の魅力を発信。テレ東の「唯一無二の企画」をつくる方法とは?

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