テレ東が配信の概念を変える?エンタメを世界に発信「ミクサライブ東京」誕生
今井豪 (株式会社テレビ東京 ビジネス開発局次長)
2020.05.20

自分の言葉で企画書をつくるべき。熱量が伝わる企画なら、収益はついてくる

HIP:「好き」を極めた斬新な企画の場合、マネタイズが大変な印象があります。マネタイズを考えるうえで意識していることはありますか?

今井:人によっては、マネタイズの設計も企画の段階でデザインするでしょう。それも正しいと思いますが、私の場合はまず先に、面白くなりそうなことを考えます。マネタイズは、だいたいあとから考えますね。

たしかに、新規事業や新企画の稟議をとおすには、マネタイズ設計がちゃんとされていないとOKが出ない場合も多い。ただ、熱量で人の心を動かせる企画は、おのずと支持してくれる人が増えるんです。そういう企画をテレ東ではたくさん見てきました。

だからこそ、最初の段階で「自分の言葉で企画書をつくる」ことを大事にしています。テレビの企画とは、企画書の言葉で社内・スタッフ・キャストの心を動かすことに始まり、ラテ欄の言葉で視聴者の興味を引くことに終わる。言葉だけでも熱量を感じる企画なら、おのずと多くの人を魅了しますし、マネタイズもうまくいくと思っています。Mixaliveの企画づくりにおいても、それは意識しています。

(画像提供:テレビ東京)

HIP:テクノロジーや社会構造の変化により、多くの企業が既存事業の変革を迫られています。メディア業界も例外ではないと思いますが、Mixaliveはテレビ局やエンタメ業界の新たな事業モデルとしても注目を集めそうですね。

今井:テレビの収益の柱である広告収入は、インターネットをはじめとするメディアの多様化により分散しています。ひと昔前まではテレビとネットは対立構造で語られることも多かったですが、いまや敵対心などは完全になくなり、連携が当たり前になってきました。テレビ局も積極的にネット配信に取り組んでいますしね。

その流れは出版社も同じなのではないでしょうか。雑誌などの紙媒体を主流としてきたメディアも、インターネットでの情報発信に力を入れているように思います。一見、出版社やテレビ局はネットを後追いしたかたちに見えるかもしれませんが、アナログとデジタルの両方を使い分けることができるわけです。

だからこそ、出版社の講談社とテレビ局のテレ東が組む「Mixalive」という場所でイベントを仕掛ければ、それをさまざまなかたちで国内外に発信できる。リアルな場と、放送・配信の掛け合わせによって、一歩進んだビジネスモデルになると思っています。

番組制作と街づくりの両立。Mixaliveで一歩進んだビジネスモデルをつくりたい

HIP:現時点(※取材は4月14日)では、新型コロナウイルス収束の見通しが立たず、イベントを開催できない状況が続いています。今後の展望について、語れることはありますか?

今井:当然ながら、まずは来場者の安全が最優先です。安全にイベントを実施できる、万全の状態が整ってから始めるのが大前提ですね。そのうえで、収束を待つあいだにできることもあると考えています。

たとえば、無観客のオンラインイベント。前述した生配信番組『テレビ東京ベンチャー祭り「池袋をスゴい街にしようゼ会議」』も、無観客の公開収録で行いました。無観客でも面白い企画をMixaliveから発信することで、施設や池袋の街自体に興味を持ってもらえると思います。

Mixalaiveで行われた『テレビ東京ベンチャー祭り「池袋をスゴい街にしようゼ会議」』の公開収録の様子(画像提供:テレビ東京)

今井:また、4月に始まった新番組『Mixalive presents田村淳が豊島区池袋』(毎週日曜26時05分からテレビ東京で放送)も緊急事態宣言発動後にはスタジオ収録が中止になりました。

それからは、出演者やスタッフだけでなく、飲食店、サウナ、劇場など地元を支えている皆さんにもzoom会議にご参加いただき、池袋で起きている「やりきれない苦境」を吸い上げながら課題解決に向けたアイデアなどを出し合っています。

そして、その生の声を正確に世に届けていくことこそが、私たちの「いますべきこと」。地上波では実験的かもしれませんが、スタッフを交えたZoom会議の様子をそのまま放送したりしています。「リアル」を届けていく積み重ねが、経済を回す糸口につながるはず。そう信じて、少しでも明るい希望を見出すための番組にしていきたいです。

毎週日曜26時05分からテレビ東京で放送中の新番組『Mixalive presents田村淳が豊島区池袋』(画像提供:テレビ東京)

HIP:最後に、今井さんがこの場所で実現したい未来について教えてください。

今井:もっと人を惹きつけるような企画を練り、面白いイベントや番組を世界中に発信していきたいです。企画を練る際、自分にとって「本当に面白い」と思うポイントが、テレビの枠組みを超えるときがあるんです。たとえば、テレビの枠組みでの面白さを「A面」とするならば、枠組みを超えた面白さが「B面」。今回のMixaliveでは、豊島区・池袋の街づくりがB面の企画です。

この「B面」こそ、プロジェクトに対する熱量を伝えられる要素になり、人に共感してもらえるポイントになる。「A面」を実現するには、勝負所でこの壮大な「B面」を社内外にプレゼンすることに意義があると思っています。

A面とB面をうまく掛け合わせながら、従来の「テレビ放送」にはない企画をどんどん世に送り出していくつもりです。その先に、テレビ局の新たな可能性を広げていきたいですね。

Profile

プロフィール

今井豪 (株式会社テレビ東京 ビジネス開発局次長)

株式会社テレビ東京の営業、編成、コンテンツビジネス、BSテレ東などを経て現職。x R事業などデジタル領域のコンテンツ開発をするビジネス開発部とリアルイベントの企画・プロデュースをするイベント事業部で構成される「ビジネス開発局」にて、Mixalive TOKYOのプロデュースを担当。

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