INTERVIEW
テレ東が配信の概念を変える?エンタメを世界に発信「ミクサライブ東京」誕生
今井豪 (株式会社テレビ東京 ビジネス開発局次長)

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2020.05.20

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池袋の人と企業をつなぐ。街の魅力を発信することがイノベーションにつながる

HIP:当面はアニメのイベントが主体になるということで、アニメ畑出身の局員がアサインされているのかと思いきや、今井さんはまるで関連のない部署からアサインされたそうですね。

今井:はい。直近はBSテレビ東京で『田村淳のBUSINESS BASIC』(2016年4月〜2020年3月放送)という番組を担当していました。さまざまな社会課題をテーマに、その解決方法について大企業やスタートアップ、学生などが話し合う番組です。

4年半で、さまざまな学生や企業とつながりをつくれました。そして気がつけば、学生と企業、企業と企業をマッチングするなど、新しいビジネスの種を生むインキュベーションのような役割を持つ場にもなっていました。ここで培った知見やノウハウをMixaliveでも活かせば、豊島区の人と企業をつなげるコンテンツもつくれるのではないかと思っています。

2020年3月までBSテレ東で毎週日曜23時~放送をしていた『田村淳のBUSINESS BASIC』(画像提供:BSテレ東)

HIP:豊島区や池袋という街を盛り上げたいということでしょうか。

今井:そうですね。豊島区、池袋でイノベーティブな取り組みを行っている人や企業と連携し、新しい才能を発掘していきたいと考えています。実際すでに、西武ホールディングス、東武鉄道、サンシャインシティ、ドワンゴ、山口不動産など、豊島区に根づいた企業の方々とさまざまなアイデアを出し合う機会をいただいています。豊島区に携わる方々にご協力いただきながら、街を盛り上げていきたいですね。

HIP:そもそもテレ東としては、豊島区、池袋のどこに魅力を感じて、街を盛り上げたいと思ったのでしょうか。

今井:じつは豊島区は2014年に東京23区で唯一、消滅可能性都市に区分された過去があります。しかし、そこから火がつき、かなり革新的な取り組みを進めた結果、いまでは消滅するどころか他県や海外観光客も惹きつける街へと成長した。

この街のパワーは計り知れません。そう感じたのが、さらにこの街を盛り上げたいと思ったいちばんの理由です。私は、豊島区、池袋という街の魅力を、Mixaliveからもっと世界中に発信していきたいと本気で思っています。

池袋とテレ東は似てる? だからこそ「唯一無二の街」をつくれるはず

HIP:いまでは豊島区・池袋が消滅するなんて考えられませんよね。県外や海外観光客を誘致するため、豊島区はこれまでどんな取り組みを行ってきたのでしょうか。

今井:主には、区内の土地を活用して劇場などの文化施設を増やしたり、アニメ文化を根づかせるための場づくりを徹底的に行ったりしてきたそうです。さらには、池袋に根差した企業が地元の若い才能とエンゲージメントをつくり、新しいスタートアップを育てていくことに注力されてきたと聞いています。

実際、そうした流れはいまも続いていますし、今後も豊島区・池袋を盛り上げる各社の取り組みは活発に起こるでしょう。その点と点を、テレビ東京が発信して線でつないでいけたら、国内外のどこにもない「唯一無二の街」というイメージを豊島区・池袋につくれるんじゃないかと思っています。

HIP:たしかに、新しい文化やビジネスの種が生まれる唯一無二の存在になりそうですね。具体的には、どのように点と点を線でつないでいくのでしょうか。

今井:まずは、池袋で起きていることをMixaliveで積極的に取り上げていきたいです。その一環として、池袋の次世代ビジネスモデルの創造から事業化を考える番組『テレビ東京ベンチャー祭り「池袋をスゴい街にしようゼ会議」』の生配信を2020年3月19日に行いました。

番組内容は、池袋に根づく大企業やスタートアップ、オープンイノベーションのプロフェッショナルをお呼びし、池袋が抱える課題解決策や新たなビジネスの可能性を話し合うトークセッション&ピッチコンテスト。議論も白熱しました。こうしたイベントや番組をとおして、地元企業や人をつないでいくつもりです。

2020年3月19日に行われた生配信『テレビ東京ベンチャー祭り「池袋をスゴい街にしようゼ会議」』(画像提供:テレビ東京)

今井:ほかの街とも連携することでも発信力をより高められると思っています。たとえば、新たなビジネスの発信拠点として盛り上がりを見せている虎ノ門とか。明確な強みやウリを持っている街と連携することで、お互いの魅力を増幅できると思います。

池袋の街としての魅力は、アニメの聖地という文化を背負っている強みに加え、かつて池袋の印象として強かった「危うさ」もまだ少し残っているところです。そのなかで街がどんどん変わっていく疾走感などを含め、カオスでかっこいい街だなあと思うんです。そして、そうしたニッチでカオスな池袋の特色は、テレ東の文化にもフィットするのではないかと感じます。

「好き」にこだわる。テレ東に根づく、斬新なアイデアを生む思考

HIP:たしかに、テレビ東京もカオスというか、常識にとらわれずわが道を突き進んでいるイメージがあります。次々と斬新な番組や企画が生まれる背景として、独自の社内風土や共有されているメソッドのようなものがあるのでしょうか?

今井:特別「これ」といったものはないと思います。しいて挙げるなら、私が若い時に習ったのは、ひとつのテーマに「無茶」を足すと新しいものができるということ。

たとえば、「旅」がテーマなら「泊まる場所を見つけるまで帰れない」という無茶を乗っけることで『田舎に泊まろう!』という番組が生まれたのだと思います。また、同じ「旅」のテーマで「空港で密着できる外国人を探す」という無茶を乗っけて生まれた企画が『YOUは何しに日本へ?』なのでしょう。そうした発想の仕方は社内で共有されている印象がありますね。

バナナマンが司会を務めるバラエティー番組『YOUは何しに日本へ?』(画像提供:テレビ東京)

今井:あとは、私の尊敬する方からの教えで「自分のつくりたいものをつくって、世に問え」といわれたことも、いまだに意識しています。好きなことをやるというのはテレビマンの原点ですからね。まずは自分が好きと思える企画でなければ、情熱を注ぐことはできないですし、人の心を動かすものにはならないと思っています。私以外のテレ東の社員も、自分の「好き」に対するこだわりは強いと感じます。

「好き」と「収益」は両立できる? 企画段階でのマネタイズ設計の重要度とは

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