INTERVIEW
目指すはアバターで移動する未来。世界規模のイノベーションを推進するANAの挑戦
深堀 昂(全日本空輸株式会社 デジタルデザインラボ / アバタープログラムディレクター)

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2017.11.29

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これまでにぼくがやったことは、大企業でなければできなかった。

HIP:孤独だったからこそ、有志のチームが必要になったのですか。

深堀:そうですね。役員からは何度もOKが出ているのに実現しない状況に、自分自身を信じることの限界が近づいていたのだと思います。なにかしらのムーブメントが欲しいということもあり、そのときも有志を募ることにしたんです。こういったところは、大企業でやるメリットだと思います。当時集まってくれたメンバーは27人。その後、皆で地道に活動し、なんとかBLUE WINGを実現することができました。

HIP:「BLUE WING」や「ANA AVATAR XPRIZE」といったイノベーティブなプロジェクトを推進するときのANAの強みはどういったことだと考えますか。

深堀:これまでにぼくがやったことは、すべてANAでなければできなかったと考えています。賞金レースのスポンサードひとつとっても、ベンチャー企業では不可能です。それに、これまで会ったイノベーターたちが口を揃えて言うのは「How do you impact one billion people?」。彼らはどうすればグローバルアジェンダを解決し、10億人にインパクトを与えることができるのかを大真面目に考えているのです。

そういった規模のプロジェクトを考えたとき、やはりANAは大きな強みを持っています。ただ、正確にはANAのためにやっているのではないかもしれないですね。きっと、他のメンバーもANAのためと思って動いていないはず。「自社のため」という動機では、社内のメンバーを動かすことすら難しいですから。お客さまに喜んでもらえるからこそ頑張れるのです。

HIP:お話を伺っていると、これまでのプロジェクトは深堀さんだからこそ、実現できたのではないかとも感じます。「BLUE WING」では世界的に有名な社会起業家ネットワークであるアショカと、「ANA AVATAR XPRIZE」ではXPRIZE財団と組んでいます。このような、世界の一流パートナーとどうやって関係を築くのでしょうか。

深堀:簡単ですよ。「BLUE WING」の場合、アショカのファウンダーに会いたかったので、アショカジャパンに「ボランティアで通訳をさせて下さい」と頼みました。それでアショカのサポーターだけが集まる総会に参加させてもらい、エレベータの前で出待ちをしていたら、創設者のビル・ドレイトンと会うことができたのです。

そこで企画書を見せて、話をしたいとお願いしたら、「いまは無理だけど、明日ニューヨークのハーバードクラブに来てくれたら30分、時間を取れるかもしれない」と一言。そのときの総会はマイアミ開催だったのですが、すぐにニューヨークまで行きました。結局そのときは急遽キャンセルされてしまったのですが、私の強い思いが伝わったのだと思います。

もし、ぼくがチャンスをつかんでいるように見えるなら、こういったことを繰り返している結果かもしれませんね。もちろん、上手くいくことばかりではありません。ダメだったら、そのときにはまた新たな方法を考えるだけです。ただ、いずれにしろ、本気で世界を変えたいという情熱が大事なことだけは間違いありません。

Profile

プロフィール

深堀 昂(全日本空輸株式会社 デジタルデザインラボ / アバタープログラムディレクター)

2008年に、ANAに入社。営利と非営利のタイアップモデル「BLUE WINGプログラム」を発案、Global Agenda Seminar 2010 Grand Prize受賞。2014年より、ANAのプロモーションを担当し、ウェアラブルカメラで撮影したビジネスクラス体験プロモーション「YOUR ANA」を企画、実行。2016年には、クラウドファンディングサービス「WonderFLY」を発案。XPRIZE財団主催の次期国際賞金レース設計コンテストにて、「ANA AVATAR XPRIZE」のコンセプトをデザインしグランプリ受賞、2017年度末に開始予定。

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