INTERVIEW
世界のスタートアップ・エコシステムの「万博」を目指す。東京で開催の「グローバル・ギャザリング」とは
小村隆祐(ベンチャー・カフェ東京 エグゼクティブ・ディレクター)

INFORMATION

2025.02.21
文:中野慧 写真:加藤史人 取材・編集:包國文朗(CINRA)

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2025年2月27日、グローバルイノベーションエコシステムカンファレンス「Venture Café Global Gathering Tokyo ‘25」が、東京・虎ノ門ヒルズフォーラムにて開催される。

同イベントは、累計10万人以上が参加してきたビジネスコミュニティ、ベンチャー・カフェ東京が手掛ける初のグローバルイベント。世界16都市に展開するベンチャー・カフェのネットワークを活かし、世界各地のスタートアップ・エコシステムを体感できる貴重な機会となる。

運営の主軸を担うベンチャー・カフェ東京の小村隆祐さんに、イベントの内容や東京開催の意義、見どころについてうかがった。

世界のイノベーション・エコシステムをつなぐ祭典「グローバル・ギャザリング」

HIP編集部
(以下、HIP)
来たる2025年2月27日に、「Venture Café Global Gathering Tokyo ‘25(以下、グローバル・ギャザリング)」が東京で開催されます。まず、このイベントの概要について教えていただけますか。
小村隆祐氏
(以下、小村)
世界各地に展開しているベンチャー・カフェの力を総結集したグローバル・イノベーション・エコシステム・カンファレンスです。ベンチャー・カフェがすでに展開している都市だけでなく、韓国、台湾、ハワイからキーパーソンが登壇するなど、世界各地のイノベーションコミュニティを体感できる祭典になります。しかも、どなたでも無料で参加できます。
ベンチャー・カフェ東京でエグゼクティブ・ディレクターを務める小村隆祐氏
HIP
こうした世界のベンチャー・カフェをつなぐ取り組みはこれまでにもあったのでしょうか。
小村

じつは、今回が初めてなんです。ベンチャー・カフェは2009年にアメリカ・マサチューセッツ州のケンブリッジで誕生し、2018年にここ虎ノ門にベンチャー・カフェ東京が設立されました。現在、6か国、16都市に拠点を展開しています。

ベンチャー・カフェ東京ではこれまで、ネットワーキングの機会とセミナーを組み合わせた「Thursday Gathering(サーズデイ・ギャザリング)」を300回以上開催し、拡大版として毎回1,000人以上が参加する「ROCKET PITCH NIGHT」も実施してきました。こうした取り組みをさらに発展させたのが今回の「グローバル・ギャザリング」です。

もともと世界中に広がるベンチャー・カフェのネットワークを活用したいと考えていたのですが、予算や時差の問題で実現できませんでした。そうしたなかで今回初めて、 世界のイノベーション・エコシステム関係者、そしてベンチャー・カフェネットワーク関係者が東京で一堂に会するイベントとして実現する。日本のスタートアップ・エコシステムもまた「グローバル化」が大きなトレンドになるなかで、そこに大きな意義があると考えています。

東京がイノベーションを生む都市として再注目されている

HIP

東京というとこれまでジャパン・パッシング(※1)といわれていたように、世界のビジネスシーンから素通りされる状況が続いていました。なぜいま、東京が再注目されているのでしょうか。

※1:日本の長期不況のなかで起きた、グローバル企業が日本を通り過ぎる現象

小村

世界の都市のなかでも相対的に見て東京は経済基盤が非常に安定しているといえます。知財(知的財産権)の保有数も多いですし、大企業も集積しています。たとえば「フォーチュン500」に入るグローバル企業が本社を置いている数を都市ごとにカウントすると、1位が北京、2位が東京なんです。

Startup Genomeが公表する「Global Startup Ecosystem Ranking 2024」でも、東京は世界10位にランクインし、前年の15位からジャンプアップしています。アジアのエコシステムのなかでも特に注目される存在になってきていますね。

さらに、行政からの支援も拡充されています。日本政府が2022年に策定した「スタートアップ育成5か年計画」では、スタートアップへの投資額を従来の10倍以上となる10兆円規模に増やすことが目標として掲げられています。今回のグローバル・ギャザリングは東京都の「グローバル交流活性化事業」に採択されたことで実現に至りました。

HIP
小村さんは、現在の東京のスタートアップシーンにどのような特徴があると考えていますか。
小村

以前は、東京のスタートアップといえば、渋谷のビットバレーなど若い起業家らによる、どちらかといえばオルタナティブなトレンドでした。ところが最近では、大企業や政府、経団連などのメインストリームがスタートアップ支援を本格化させています。

特に注目される分野はディープテック(※2)です。2024年11月にKPMGがリスボンで開催した「KPMG Global Tech Innovator Competition 2024」というグローバルなピッチ大会では、超高機能断熱材の開発を手掛ける茨城県つくば発の株式会社Thermalytica(サーマリティカ)が優勝しました。このように日本のスタートアップが持つ技術力が世界で再評価される流れが生まれつつあります。

※2:人類の重要課題や社会課題を解決するような革新的技術のこと

グローバルな潮流のキャッチアップから、英会話のトレーニングまで?

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