INTERVIEW
世界のスタートアップ・エコシステムの「万博」を目指す。東京で開催の「グローバル・ギャザリング」とは
小村隆祐(ベンチャー・カフェ東京 エグゼクティブ・ディレクター)

INFORMATION

2025.02.21
文:中野慧 写真:加藤史人 取材・編集:包國文朗(CINRA)

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4つのトラックで、世界のイノベーターやスタートアップの動きを肌で感じる1日

HIP
今回開催されるグローバル・ギャザリングの内容はどのようなものになるのでしょうか。
小村

メイン会場となる虎ノ門ヒルズフォーラム ホールBでは、

①Global Gathering Main Stage(グローバル・ギャザリング メインステージ)
②Japan Immersion(ジャパン・イマージョン)
③Innovation Bridge (イノベーション・ブリッジ)
④Pioneering Careers(パイオニアリング・キャリアス)

の4つのトラックを展開する予定です。

特に目玉となるのは、①のメインステージで行われる、国内外の予選を勝ち抜いたスタートアップが世界に向けてプレゼンテーションを行うピッチイベント「Pitch2Tokyo」です。全部で20近いセッションを予定しています。

HIP
どんなところに見どころがあると考えていますか。
小村

世界の各都市のエコシステムには、それぞれユニークな特徴があります。たとえば、マサチューセッツ州のケンブリッジはバイオやロボティクスに強く、アリゾナ州のフェニックスでは自動運転事業が盛んです。ポーランドのワルシャワはテック人材の集積地として知られています。

だからこそ「Pitch2Tokyo」をはじめとした今回のプログラムは、世界中の多様な地域のイノベーターやスタートアップの動きを肌で感じるいい機会になると思います。

また、メインステージではベンチャー・カフェ各拠点のエコシステムビルダーによるディスカッションも開催します。普段開催しているサーズデイ・ギャザリングでも、韓国、台湾、日本などの東アジア市場がすごく熱くなっていると感じています。東アジアでのイノベーションエコシステム構築や連携について議論する予定になっているので、要注目ですね。

HIP
②のジャパン・イマージョンはどんな場になるのでしょうか。
小村
海外から来場する方々が日本のビジネスをより深く知り、日本市場にエントリーしてもらう足がかりのための場になります。日本が誇るさまざまな業界の特性に触れてもらい、日本でのビジネスを成功させるために必要な情報を提供します。
HIP
③のイノベーション・ブリッジはどうでしょうか。
小村

こちらは世界中でベンチャー・カフェが連携しているパートナーをお招きしてセッションを行うエリアです。

たとえばイギリスで研究機関のファンディング支援などを行っている研究助成機関「ARIA(Advanced Research and Invention Agency)」のディレクターを務めるマイク・ツァン、台湾の「デジタルトランスフォーメーション協会(DTA)」の事務局長であるサマンサ・ホアン、世界最大のロボティクスコミュニティ「MassRobotics」のメンバーなど、普段日本では会えないような方々を招聘します。

「イノベーションブリッジ」登壇者。(上から)マイク・ツァン、サマンサ・ホアン。(グローバル・ギャザリング公式サイトより)
小村

それぞれのエコシステムで何が起こっているのか、また、活発なエコシステムを作るために何が求められるのかを議論し、学びを深める場となるでしょう。

また、4つ目のトラックとして、キャリアフェアも開催します。バイリンガルやグローバル志向のビジネスパーソンをサポートする求職プラットフォーム「HirePLANNER(ハイヤープランナー)」と連携し、特に日本語・英語のバイリンガル人材を求めるテック企業のための特別企画を実施する予定です。

「リアル&グローバルなつながり」を得る場として活用してほしい

HIP
小村さんは、このグローバル・ギャザリングがどのような場になってほしいと考えていますか。
小村
東京と世界中のスタートアップが垣根なく連携していくきっかけの場になれば面白いですよね。さらには、たとえばベルリンのスタートアップが台湾の企業とコラボレーションするきっかけになったり、そういったクロスボーダーな交流が生まれていくとワクワクしますよね。
HIP
今後、グローバル・ギャザリングはさらに発展していく可能性もあるのでしょうか。
小村

前提として私はベンチャー・カフェのグローバルの代表ではないので、あくまで個人的な妄想と思ってもらいたいのですが、テキサス州オースティンの「South by Southwest(サウス・バイ・サウスウエスト、SXSW)」のような、世界で通用する大規模なカンファレンスに育っていくといいなと思います。

開催都市も1つではなく、オリンピックのように世界のいろいろな都市を巡回していくような形式も考えられます。将来的には1開催あたり10万人くらいが参加する「新しい万博」のようになれば面白いですよね。

HIP
先ほど「東京がイノベーションハブとして再注目されている」ということをうかがいましたが、最後に東京という都市が向き合うべき課題についても教えていただきたいです。
小村

我々は「Isolation is the enemy of innovation(孤独はイノベーションの敵だ)」、「Connecting innovators to make things happen(ことを起こすためにイノベーターをつなぐ)」というミッションを掲げています。一言でいえば、「つながりの力」を強く信じているんです。

ビジネスを成長させるためには、ビッグネームと呼ばれるような人との出会いも大事ですが、「半径5メートル内」の身近なつながりをどれくらい作っていけるかがさらに重要です。

今回のグローバル・ギャザリングに登場するプレイヤーの皆さんは決して、リード・ホフマンやマーク・ザッカーバーグのようなタイプではありません。リアルな実務において、各地域でエコシステムやコミュニティの創出・運営に携わっている人物が多数登場します。

これから東京が真の意味でのグローバルな都市に成長し、東京発のスタートアップが飛躍するためには、カジュアルなコミュニケーションを通じた「リアルなつながり」が不可欠です。今回のグローバル・ギャザリングは、まさにその機会を提供する場となるでしょう。

ちなみに、グローバル・ギャザリング全体を通じて英語でのコミュニケーションが基本になると思いますが、ある意味、オンライン英会話とは違う自分のリアルな英語力を無料で試すことができるチャンスでもあると思います。こうした「コスパよし、タイパよし」の経験が、東京の虎ノ門ヒルズでできてしまうわけです(笑)。興味を持った方は、ぜひ現地にお越しください。

「Venture Café Global Gathering Tokyo ‘25」参加申込

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