大企業が陥る、ワークショップの落とし穴とは? タキザワケイタさんに聞く
タキザワケイタ(ワークショップデザイナー / クリエイティブファシリテーター)
2017.12.23

会社として本気で取り組んでいるメッセージを発し、いかに参加者のモチベーションを高く保てるか。

HIP:普段のお仕事でされているワークショップについてもお聞きします。企業の課題解決のためにワークショップを設計するときは、どんなことが重要になりますか?

タキザワ:企業内のワークショップでよくあるのが、参加者のモチベーションが低いという問題です。部署横断でメンバーを集めて行うことが多いので、状況を理解しないまま参加「させられて」いたり、「本業」の時間を取られることに不満を抱いていたりする人も少なくありません。

そういう人をうまく巻き込んでいくには、初回の導入部分がすごく大事です。ぼくはNASAなどでも取り入れられている「レゴ®シリアスプレイ®」というワークショッププログラムの認定ファシリテーターで、レゴブロックをワークショップに使うことが多いのですが、それはいつもの会議と違う雰囲気をつくって「おっ?」と思わせるとか、上司部下の関係をフラットにできる環境をつくるという意味合いがあります。

ワークショップの様子。レゴと文章でビジョンを見える化し、共有している

タキザワ:ワークショップの成果発表に、社長に見に来てもらうなど、会社として本気で取り組んでいるというメッセージを発することも重要です。ファシリテートする自分にとっても、組織におけるキーマンが誰で、その人をどう巻き込んでいくかは、じっくりと戦略を練りますね。

HIP:ほかに失敗しがちなパターンはありますか?

タキザワ:ワークショップがうまくいかないケースというのは、プログラムデザインに問題があることが多いと思います。ワークショップは、どんな課題に対しても有効な手法ですが、闇雲にワークショップを使っても、なかなか成果にはつながりません。

もう一つは、依存症に陥ること。何回か成功体験を積むと、ワークショップをやりさえすれば物事が進むという感覚になってきます。プロジェクトの推進エンジンにワークショップを活用するのは効果的ですが、普通の会議で決められることをワークショップで決めようとするのは本末転倒です。

ワークショップをやるにはお金もかかるし、企画運営や参加者など多くの人の時間を使います。最大限の成果を生み出すには、最適なタイミングと的確なテーマ設定が大切です。

企業の課題が見えにくい時代。ワークショップのあり方も変化している。

HIP:ワークショップを行ってきて、企業の持つ課題感に変化を感じることはありますか?

タキザワ:最近は求められるものが「商品」から「体験」に変化してきている、また、そもそも課題がわからないというケースが増えてきているように感じます。これまでは、いまある商品の機能改善をしていればよかったのが、ビジネスや社会環境の変化が速くなり、価値観が多様化したことで、もう一度「どうありたいか」から考えなければいけなくなった。目指すべきビジョンを描けずに手詰まりになっている企業が多いように映ります。

ワークショップで扱うテーマも変わってきています。これまでは企業が設定した課題を解決するためにワークショップを実施していましたが、最近は「課題そのもの」を見つけることから始める仕事が増えてきました。

そこで現在は、中長期的に関わらせてもらい、ワークショップを状況に応じて使い分けながら、プロジェクト全体をファシリテートしていく役割になりました。ぼくが「ワークショップデザイナー」という肩書きに加えて「クリエイティブファシリテーター」を名乗るようになったのはそのためです。

HIP:単にワークショップの手法やフレームワークをいくつか知っているというだけでは、課題解決は難しいということでしょうか?

タキザワ:その通りです。ワークショップの目的は大きく「ビジョンを描く」「リサーチする」「アイデアを生み出す」という3つに分類することができます。これまでは目的に合わせた手法を選んでいましたが、いまは課題や目的に合わせてそれらを組み合わせたり、カスタマイズしたり、場合によっては新たな手法を開発しなければ、成果を生み出すところまではたどり着けないと感じます。

よく「ワークショップをやっても成果に結びつかない」と言われるのは、課題解決へと導くプログラムデザインや、状況に合わせた柔軟なファシリテーションのスキルが足りていないからではないかと思います。

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ワークショップは「人を育て」「仲間を生む」もの。タキザワさんが語る、そのプロセスの重要性

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