INTERVIEW
異分野の仲間がいるから事業も進化する。始動プロジェクト優秀者・主催者の声
島田英樹(日本貿易振興機構) / 下村明司(株式会社Magic Shields ) / 池田篤史(筑波大学)

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2022.11.22

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ビジネスパートナーとなることも。志高く行動する仲間との出会いが最大の魅力

HIP:下村さん、池田さんは『始動』のプログラムに参加したことで、事業や自身の考え方にどんな影響がありましたか?

下村:もちろん、メンターをはじめさまざまな方のアドバイスをいただけたことは大きかったですし、シリコンバレーのプログラムではアメリカのVCなどとも知り合うことができ、今後の海外展開へ向けた道筋をつけることができました。

ただ、それ以上に大きな価値を感じたのは、新しいチャレンジをしている数多くの人と出会えたことですね。それぞれ立場やステージは異なりますが、ほかの人の奮闘している姿は励みになりますし、メンバー同士でノウハウの共有のようなこともできたと思います。また、じつは『始動』のプログラムをきっかけに、私の会社へ正社員として転職した人もいます。一人は参加者の方で、もう一人は参加者のパートナーの方です。

Demo Dayでの下村氏。6・7期全参加者のなかのグランドチャンピオンになった

池田:『始動』の参加者は自分の取り組みに対して強い信念を持ち、さらにはしっかり行動をしている人が多い印象です。そして、自分が何か行動を起こせば、それに対して乗っかってくれる人が必ずいるように思います。

そんな、つねに前へと進む人たちの集団に身を置いていると、自分もやらなければという気持ちになる。プログラム終了後もSlackのコミュニティーに各々が事業の進捗を発信していて、みんながどんどん挑戦している様子がわかります。シリコンバレーのプログラムに選抜されなかった人が、その後に見事アイデアを具現化し、資金調達にまで至ったケースもあったりして、とても大きな刺激をもらっていますね。

HIP:『始動』は個人のレベルアップの場であると同時に、そうした高い志を持つ他分野の人たちと出会う、仲間集めができる側面もあるのですね。

下村:そう思います。『始動』にはセレンディピティーな出会いがあると感じていて、他分野であるからこそ思わぬアイデアや解決策が生まれるようなケースも多いのではないでしょうか。実際、私はもともと自動車メーカーで衝突の技術開発に従事していましたが、偶然に医療の領域の課題を知ったことが「ころやわ」のアイデアにつながりました。

おそらく、そうした可能性って日本の至るところに眠っていると思います。「始動」のような場所で他ジャンルの人が集まることで、「その課題、私なら解決できます」「一緒にこんなことやったら面白いかも」といったつながりが生まれ、どんどん新しい事業が立ち上がっていく。そういう意味でも、とても意義のあるプログラムだと感じますね。

池田:同感です。私たちも、普段は大学病院のなかの閉じた世界で仕事をしています。しかし、『始動』には大企業の人や起業したばかりの人、学生さんなど、本当にいろいろな人がいる。こうした多様性は、参加者目線で見ても大きな魅力ですね。

Demo Dayでの池田氏。プレゼンで池田氏が膀胱内視鏡検査のつらさを説明すると聴衆の多くがうなる一幕も

HIP:では、今後の事業の展望をそれぞれお聞かせいただけますか?

下村:直近の目標としては、来年から医療介護の現場だけでなく、在宅にも広げていきたいと考えています。また、「新素材」という側面もありますので、高齢者の転倒以外の課題、たとえば子ども向けの施設の事故防止であったり、スポーツの際の事故防止であったり、さまざまなシーンでの活用を検討しています。

さらには、アメリカやヨーロッパへの展開も見据えています。シリコンバレーに派遣された際にも、個人的に現地の大学病院を訪問するなどして、商談のきっかけをつくることができました。高齢者の転倒事故の課題は日本だけでなく、さまざまな国々が直面しています。「ころやわ」をグローバルスタンダードのプロダクトにしていくことが、今後の大きな目標ですね。

池田:私は下村さんと違い、まだ事業を立ち上げたばかりですので、まずはこれを軌道に乗せることですね。また、起業はしましたが、医師としての仕事や大学病院での研究はこれからも続けていきます。

私の強みは、私自身が医師であり、このプロダクトのユーザーであることだと考えています。その強みを活かし、現場での使い勝手などをいち早く製品にフィードバックし、医学の世界で認知を広げるための広報をしていきたいですね。そうやって医師としてのアカデミックな部分とビジネスを両立しながら、いち早く良いものを届けていきたいと思います。

18歳から参加可能に。今後は高校生からの応募も大歓迎

HIP:最後に、島田さんに『始動』の今後についてお聞きしたいです。次回は今年(2022年)からはじまる8期ということになりますが、そこでの新しい仕掛けなども含めて、これからの展望を教えてください。

島田:まず、8期についていえばオンラインとリアルのハイブリッド形式でのプログラムを予定しています。1期から5期までは完全リアルで、一つの場所に集まっての合宿形式で実施しました。6期と7期はコロナ禍ということで、完全オンラインでした。この経験をふまえ、ハイブリッド形式の新しいプログラムをつくりたいと考えています。

また、今年から成人年齢が20歳から18歳に引き下げられたことを受けて、『始動』の応募資格も従来の20歳から18歳に変更しています。そして、申し込みを締め切ったところ早速18歳の方から応募があり、100名の国内プログラム参加者にも選抜されました。一方で、最高齢の方は74歳。これまで以上に、非常に幅広い年齢の方に開かれたアクセラレータープログラムになっていると思います。

下村氏、池田氏と『始動』6・7期の優秀者

HIP:年齢や属性も含め、これまで以上に多様性のあるプログラムになりそうですね。

島田:はい。属性で見ても、これまでは大企業ご所属の方の参加が多かったのですが、8期では中小企業の方、大企業以外の方の割合が多くなっています。そういう点でも、主催者側としても非常に楽しみにしているところですね。これからも、そうした幅広い方々に参加してもらえるようアプローチしていきたいと思いますし、事業のアイデアと高い意欲を持つ高校生の参加も大歓迎です。また、まだ検討段階ではありますが、今後は多様なニーズに応えるべくプログラムを細分化するといったことも考えています。

いずれにしても、これまでの知見やアルムナイの方々のお力を活かしつつ、起業を志す人にとってさらに魅力的で価値のあるプログラムにしていきたいですね。

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Profile

プロフィール

島田英樹(日本貿易振興機構イノベーション・知的財産部スタートアップ支援課課長)

1998年、大学卒業後、東京三菱銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2005年、日本貿易振興機構に転職。北京駐在、海外調査部、商務情報産業課、企画部などを経て、現職。

下村明司(株式会社Magic Shields 代表取締役)

ヤマハ発動機で14年間バイクの設計・開発、新規事業開発に従事。友人が事故死したことをきっかけに、「人を守る」発明活動を開始。2019年にMagic Shields創業。

池田篤史(筑波大学医学医療系講師)

2006年、筑波大学医学専門学群卒業。2018年、同大学大学院で医学博士号取得。臨床にも携わりながら、2017年よりAIを活用した膀胱内視鏡検査の研究を開始し、製品化を目指している。

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