グローバルで勝つベンチャー企業の輩出のために、監査法人にしかできないこと
鈴木真一郎(新日本有限責任監査法人 企業成長サポートセンター センター長)
2015.12.01

監査法人だからこそできるベンチャー支援がある

HIP:ベンチャー企業の支援をしているプレイヤーは数多く存在していますが、新日本によるベンチャー支援の特徴にはどういったものがあるのでしょうか?

鈴木:資本政策や事業計画作りのお手伝い、資金調達のサポートなどを行っています。中には、CFOをベンチャーに派遣するケースもありますね。ベンチャーは常に人材不足に悩まされていますが、その中でもCFOはなかなか見つかりにくい。資金調達期間にCFOが入ってくれてとても楽になった、という声をいただいています。

HIP:財務や会計周りのサポートは、監査法人ならではの特徴かもしれませんね。

鈴木:そうですね。他にも監査法人ならではの特徴という意味では、大企業やベンチャー企業、その他の様々なプレイヤーとのネットワークがあるため、そのハブになることができるという点も挙げられるかもしれません。そのネットワークを活かして、たとえば、Exit戦略の一つとしてM&Aのアドバイスを実施することなどが可能になります。

HIP:監査法人だからこそ構築されているネットワークが強みになっているんですね。

鈴木:そうです。加えて、未上場から上場企業まで、様々な企業規模を経験した人間が働いているからこそ可能になる支援があると考えています。広くイノベーションを起こしていこうと考えたときに、ずっとベンチャーだけを見てきた人では見えてこない部分も、私たちなら見えるのでは、と。

HIP:なるほど。ベンチャー支援というと、專門の部隊を作ってベンチャーの支援に集中することで成果を上げるという印象を抱いていましたが、そうではないんですね。

鈴木:新日本では、ベンチャー支援だけを行う事業部は設けていません。企業成長サポートセンターがフロントとしてリードし、事業部・地区ブロックを横断してベンチャーを支援していく体制にすることで、先ほどのような広い視野とネットワークを活かすことができるんです。

HIP:部門を横断した体制というのは、ベンチャー支援への意気込みを感じます。

鈴木:そのような体制なので、当法人のプロフェッショナルの3分の1程度はベンチャー支援に関わる業務に携わっていますね。旧来型の企業は時価総額が10億円になるのに設立後20年以上かかっていますが、過去10年間では設立後数年で時価総額10億円に達する企業も出現しています。ベンチャー支援だけ、IPOだけ、上場後だけ、といった短期間の支援ではなく、上場後も成長を続ける企業をイメージして設立からご一緒させていただき、10年を超える中長期的な視点でお付き合いをしていくのが監査法人としての支援だと考えています。そのような体制と考え方をご理解いただき、企業成長サポートセンターを2012年9月に設置後、毎年多くのベンチャー企業から公開準備の監査契約のご指名をいただき、2015年には暦年でIPO実績NO1を達成しています。創業10年で「フォーチューン500」に入るようなグローバルベンチャー企業を発掘してご支援していくことも、私どものミッションと考えています。

「日本の将来を変えるのは自分たちだ」と思ってもらいたい

HIP:「ベンチャーへの投資はバブルになっている」という声も聞きますが、その点についてはどうお考えなのでしょうか。

鈴木:グローバルで考えると、日本よりも多くのリスクマネーがベンチャーへと流れています。日本のベンチャーへの投資が供給しすぎの状態というわけではないと私は思いますね。むしろ、グローバルで勝てるベンチャーを生み出すためには、もっとリスクマネーが流れていくべきだと思います。

HIP:供給過多どころか、不足していると。

鈴木:そう思います。一昔前と比較して、経営者のマインドも変わってきています。単純に儲けたいというのではなく、日本を良くしたい、高い技術で世界を驚かせたいといった社会的ミッションを持って起業している経営者が増えている。そういった日本の課題に対してコミットできているベンチャー企業には投資されるべきだと思いますし、経営者の理念がしっかりしているところは成長していく可能性が高いので、なおさら投資すべきだと思いますね。

HIP:IPOに関してはどうお考えでしょうか?

鈴木:世界の株式市場の中でも、東証マザーズは資金の流動性が高い市場なんです。企業にとって、資金調達ができる市場があることは重要なこと。IPOをしても、市場に受け入れられなければ出て行かなくてはならないですから。よりリスクマネーを供給して、まずチャンスを与える。企業が挑戦できるようにお金の循環を作っていくことが必要です。

HIP:まずは、ベンチャー企業がもっとチャレンジできる環境にしていくことが必要なんですね。

鈴木:そうです。既にIoTや人工知能といった新しい動きが世界中で一気に起き始めていますし、これから先のイノベーションは、各国ごとではなくグローバルで同時に起きるのが当たり前になるでしょう。そういった環境の中で勝っていけるベンチャー企業をいかに育てるかが、日本社会にとって重要なことなのだと思います。

HIP:日本のベンチャー企業には頑張ってもらいたいですね。

鈴木:ベンチャー企業はもちろん、大企業の中でイノベーションを起こすことも同じくらい大切ですね。日本も上場企業がイノベーションを起こしていく社会になっていかなくてはいけません。大企業とベンチャー企業、この二つが相乗効果を発揮することで、初めてグローバルで勝てるチャンスが出てくるのではないでしょうか。

HIP:最後に、これからの日本を担っていくビジネスパーソンの方々に何かメッセージがあればお願いします。

鈴木:ぜひ、「日本の将来を変えるのは自分たちだ」と思ってもらいたいですね。自分たちで日本を変えなくてはいけない。イノベーションをリードする日本を作るのは自分だと思ってもらえればと願っています。

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プロフィール

鈴木真一郎(新日本有限責任監査法人 企業成長サポートセンター センター長)

1985年、太田昭和監査法人入所(現在の新日本有限責任監査法人)。国際部で米国基準での米国上場準備企業の監査、米国の日本子会社の監査に従事。1991年、アーンストアンドヤング(EY)のニューヨーク事務所に赴任し、アメリカ進出日本企業の監査・アドバイザリー業務に従事。1995年に帰国し東京事務所で、主にグローバル展開している上場会社の監査の他、公開準備企業の監査・アドバイサリー業務に従事。日本公認会計士協会国際委員会専門員・監査委員会専門委員として、日本の会計基準の策定に関与。2000年、パートナー昇格後、新日本インテグリティーアシュアランス取締役兼務。2010年、アジア上場支援室(現在のクロスボーダー上場支援オフィス)を副室長として設立し、クロスボーダー上場プロジェクトをリード。2012年、企業成長サポートセンターのセンター長。IPO・ベンチャー支援の責任者。2013年、EY新日本クリエーション株式会社取締役就任。2015年、代表取締役昇格。

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