日本のスタートアップエコシステムを成長させていくためにやらなければならないこと
松山氏「最後の質問です。私は資本リスクをとって産業を育てていくというVCという仕事に誇りを持っています。ただ、ベンチャー投資には時間がかかる。今成立し始めているスタートアップのサイクルをより短く、スピーディーにして、良い起業家がどんどん誕生し、その人達にお金が回るようになるためにはどうしたらいいか、お考えを聞かせてください」
堤氏「起業家は質が上がり量も増えています。私はボトルネックはVCではないかと考えています。若いVCが出ているとはいえ、まだまだ数が少ない状態。もっと質の良いVCを増やしていかないといけないと思いますね」
渡辺氏「成功事例をもっと増やさないといけないと思います。シリコンバレーだとイグジットというと、IPOではなくM&Aが多かったりします。そのためにはいい企業を作り、良い経営者に投資する必要があります。作り出した事業が大きな会社に貢献できて、それで買収されて、新しい雇用を生む。もっと買い手も巻き込んで、一緒に産業を大きくしていかないといけないインターネット村の中でVC同士だけで話をしているのではなく、もっと色々な人に入ってきてもらわないといけないと思います」
仮屋薗氏「VCの数が圧倒的に少ないですよね。それから、シリコンバレーのスタートアップ生態系では、メディアが機能しています。日本にはベンチャーをしっかりとりあげて、CFOやテクノロジストを紹介するメディアが皆無。今後はVCからメディアにアピールしていったり、メディア自体をプロデュースしていく必要があると思います。また、シリコンバレーは経験値の伝達スピードも早い。まだ日本のスタートアップコミュニティはバラバラに動いています。メディアとシンクタンク機能のようなものを業界全体でやりたいですね」
松山氏「起業家と資本家がつながっていけば、さらにインパクトを生み出していけるはず。資本を持っている人々はベンチャー企業、もしくはベンチャー資本に関心を持ってもらえたらと思います。スタートアップ全体を甘やかす必要はないと思っているので、勢いよく伸びているアントレプレナーに対しては応援する気持ちをもって接してもらいたいですね」