INTERVIEW
児玉太郎、佐々木紀彦、杉浦太一が注目する人とは? 『HIP Fireside Chat』前編
児玉 太郎(HIPアドバイザー / アンカースター株式会社 代表取締役)/黒飛功二朗(株式会社運動通信社 / スポーツブル 代表)/佐々木紀彦(株式会社ニューズピックス 取締役 / NewsPicks編集長)/大室正志(医療法人 同友会 産業医室)/杉浦太一 (株式会社CINRA 代表取締役)/谷川佳(株式会社エル・エス・ピー OWNERS運営責任者)

INFORMATION

2017.03.21

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2017年、年明け第1弾の新年会イベントとして開催された『HIP Fireside Chat 2017』。Fireside Chat(ファイヤーサイド・チャット)とは、日本語で「炉辺談話」という意味があり、暖炉を囲むように落ち着いた気分で楽しむ会話のこと。イベントでは、さまざまな分野で活躍する登壇者に、いま注目すべきゲストを1人ずつ招いていただき、暖炉を模したセットを囲んでコーヒーを飲みながら、それぞれの活動、2017年の展望を語ってもらった。

今回は前半に登場した児玉太郎氏(HIPアドバイザー・アンカースター株式会社 代表取締役)、佐々木紀彦氏(株式会社ニューズピックス 取締役・NewsPicks編集長)、杉浦太一氏(株式会社CINRA 代表取締役)のファイヤーサイド・チャットをお届けする。誰がどんなゲストを招待するのかにも注目いただきたい。

構成:長谷川リョー 撮影:御厨慎一郎

児玉太郎(HIP)×黒飛功二朗(SPORTS BULL) スポーツに縁がなかったからこそ、新しいメディアを立ち上げた

トップバッターを務めたのは、海外企業の日本進出支援事業を展開するアンカースター代表・HIPアドバイザーの児玉太郎氏。2010年、Facebook Japan株式会社の第1号社員として日本の成長戦略責任者を務め、国内での普及に尽力した。そのFacebook Japanの成長戦略を児玉氏とともに描き、日本でのグロースに力を注いだのが当時電通に所属していた黒飛功二朗氏だ。現在は独立し、ウェブメディア「SPORTS BULL」を運営する運動通信社の代表を務めている。

SPORTS BULLは数十社のスポーツメディアと連携し、ウェブ、アプリを通じてスポーツに関する記事提供、動画配信を行うメディアだ。意外なことに、その旗振り役である黒飛氏はこれまでスポーツの経験は皆無だったそうだ。それでも、東京五輪招致が決まった翌日に前職の会社で辞表をだし、プロスポーツ以外にもスポーツの可能性を広げていきたいという想いから事業立ち上げを決心したという。

児玉太郎氏(左)、黒飛功二朗氏(右)

児玉:複雑なしくみがはたらくスポーツ業界に、素人が突然参入するのは困難も多いと思います。テレビなどの大手メディアでも、すでにハイライト動画やトップニュースのようなものは発信されていますが、SPORTS BULLはそれらと何が違うのですか?

黒飛:SPORTS BULLでは、みなさんに「スポーツは身近なものだよ」ということを伝えたいと思ってます。ぼくは大学時代にスポーツをガリガリやっていたという人ではなく、スケボーくらいしかやったことがないんです。そんな、ぼくのような人でも「スポーツ」というキーワードを聞いたときに、簡単に入っていけるコミュニティーを作りたい、という想いからスポーツメディアを立ち上げました。極端に言うと、会社に自転車で行くということも、ハードルを下げたスポーツだと思っています。

児玉:それは、マスメディアによるスポーツの打ち出し方との明確な違いですね。マイナースポーツや、まだプロリーグがないスポーツも取り扱うメディアになっていくということでしょうか?

児玉太郎氏

黒飛:マスメディアでは、誰もが知るスター選手が登場するスポーツ中継が多いです。しかし、世間にはまだ多くの人に知られていないスポーツがあって、オリンピックを例にとってみても、ニッチな競技がたくさん行われています。こうしたスポーツで活躍するアスリートにフォーカスを当てたいんです。

特に日本ではアマチュアスポーツのビジネス化がすごく遅れていると思っています。欧米の場合、大学スポーツだけを扱う巨大なウェブメディアがあります。日本の場合は、良いことでもあり悪いことでもあるのですが、教育とアマチュアスポーツが「金銭や報酬をもらわない」という思想で紐づいてしまっているので、企業も参入しにくい状態が生まれているんです。これをもう少しカジュアルに、企業がのびのびと参入できるスポーツ界にしていきたいと思っています。

日本におけるアマチュアスポーツの代表といえば、高校野球だろう。黒飛氏によると「高校野球」は日本のスポーツ人気ランキングでもトップを争う「男子サッカー日本代表」の次に注目されているそうだ。そういった背景から、2013年に「バーチャル高校野球」という、高校野球の地方大会の決勝から本大会全試合をインターネットでライブ中継するサービスを立ち上げた。

児玉:テレビで視聴することが一般的な高校野球をインターネットで放送することで、視聴率が下がってしまうという危惧もテレビ局側にはあったと思うのですが、結果はどうでしたか?

黒飛:そうした議論はテレビ局さんとさんざん行いました。チャレンジしてみた結果、この3年で約20%~30%ほど高校野球関連の番組視聴率が上がったんです。また、バーチャル高校野球も初年度は1か月で約1,000万ユニークブラウザ(ウェブサイトへのブラウザごとの訪問回数)が、2016年度では2,000万ユニークブラウザを超えるアクセスまでに成長しました。

やはり、学生の方や働いている方からすると、昼間にテレビを視聴することは物理的に難しいんです。バーチャル高校野球のユーザーは、休憩時間にPCやスマホから試合中継を見て、家に帰ったら『熱闘甲子園』(テレビ朝日系)でその裏側を見て、週末に試合の生放送をテレビで見るという行動パターンが多いのではないかと予想しています。こうして全体の接触機会を増やしていったことで、放送局も視聴率を保つことができたのではないでしょうか。

黒飛功二朗氏

児玉:では黒飛さん、2017年以降の意気込みをどうぞ。

黒飛:2020年の『東京オリンピック』を前にスポーツに注目が集まるタイミングで、メジャーなプロスポーツだけでなく、普段マスメディアで接触できない競技、大会のコンテンツ接触機会を増やしていきたいです。自分のように、これまでスポーツに携わってこなかった人間がこの領域に飛び込んだことによって、化学反応を起こしながら、なるべく業界に対して良い影響を与えたいです。そのうえで、ユーザーのみなさんに良いコンテンツを無料で提供できるビジネスモデルを早く作りたいですね。

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