江崎グリコがつくる化粧品。商品開発ノウハウゼロから7年、担当者に聞く裏話
若林歩(江崎グリコ株式会社 マーケティング本部 ダイレクトマーケティング部 カテゴリーマネージャー) / 八ッ橋宏子(江崎グリコ株式会社 健康科学研究所)
2019.02.05

長期の事業計画を立て、経営の目を入れる。会社としてブランドを育てる覚悟

HIP:調達部や品質保証部など、社内の他部署のメンバーとともに、新たな挑戦を乗り越えていったのですね。困難もあったと思いますが、それでもみんなで「グリコの化粧品」を商品化しよう、というコンセンサスはどのようにとっていたのでしょうか?

若林:化粧品というのは育てるのに時間がかかる商材ですから、すぐに利益にはつながらないという点で、社内には反対意見ももちろんありました。ただ、前提として、グリコには「事業を通じて社会に貢献する」という創業の精神があります。決して短期的な売上だけで物事を見るわけではなく、事業と社会課題解決を両立するのが使命だと、社員にも経営陣にも共通認識ができているんです。

加えて、ホームユーステスト(商品を家庭で一定期間試用してもらい、その後アンケートで評価を得る調査手法)でも、実際に良い結果が出ていました。また、経営層に長期の事業計画を提出し、定期的に進捗報告も行いました。新規の事業なので精緻な計画を立てるのは難しい部分もありましたが、経営陣にとっては新しいチャレンジをしっかりとチェックする場であり、プロジェクトチームにとっては、経験豊富な経営陣から広くアドバイスをもらえる場でもありました。

HIP:経営層からの注目も熱い、肝いりの新規事業なのですね。

若林:もちろん、力を入れて育てているブランドの一つではありますが、社内にはほかにも新しいチャレンジをしている商品・ブランドがたくさんあります。「おいしさと健康」という企業理念に沿った商品であれば、積極的にチャレンジを応援しようという、グリコの風土が現れた事例の一つといえると思います。

あえて通信販売のみに特化したのは、一人ひとりのカスタマーとつながりを持つため

HIP:課題を一つひとつ乗り越え、2012年に「gg」ブランドの第一弾としてローション、クリームの発売に至るわけですが、百貨店などには卸さず、通信販売のみでの展開としているのはなぜですか?

若林:いきなり流通に乗せて大きく展開していくのではなく、まずは小さなチャレンジを積み重ねていこうという意図がありました。そこで、すでに私たちが持っていた通信販売のインフラを使い、手の届くところから着実に販売していくことにしたんです。

HIP:地道に、まずは一人ひとりに届けていこうと。

若林:当社では、ここ数年「顧客接点の多様化」にも注力しています。販売のチャネルが多様化しているなかで、従来どおり流通に頼りきったままではいけないと。購入してくださるお客さまと一番に向き合い、ニーズを捉えた選ばれる商品づくりをしていかなければならないという思いが込められた言葉です。グリコが直接企業に営業をかけて導入していただいている「オフィスグリコ」なども「顧客接点の多様化」施策の一例ですね。

ggについても通信販売であれば、ダイレクトにお客さまとつながることができます。一人ひとりとコミュニケーションをとって私たちの商品のことを深く知っていただき、同時にお客さまのこともしっかり理解していこうという戦略でした。

ggのウェブサイト

HIP:「グリコの化粧品」は世間に馴染みがないだけに、商品の魅力を丁寧に説明し、理解してもらう必要があったんですね。

若林:そうですね。実際のところ、リリースするにあたっては、「グリコ発の化粧品」であることをどこまで強く打ち出すべきか非常に悩みました。「グリコ」ブランドに安心感があることは調査結果として見えている一方で、イメージ的に「化粧品」との距離が遠すぎて、安っぽく見えてしまのではないかと。

実際、発売当初は「グリコに本格的なエイジング化粧品なんてつくれるの?」といった反応もありました。ただ、丁寧にお客さまとコミュニケーションをとっていくことで、きちんと品質の良さやグリコならではの安全性を評価していただけることがわかってきたんです。いまではggを使ってくださっているお客さまについて、グリコへのロイヤリティーも高いことがわかっています。

HIP:化粧品はリピート率が高く、長く使ってもらえる商品だけに、コミュニケーションをとるには最適な商材といえそうです。そうしたお客さまの声は、マーケティングにも生かせそうですね。

若林:はい。化粧品というリピート商品の通信販売を通じて、デジタルマーケティングを中心に、カスタマージャーニーを掴むノウハウも蓄積していけたらと考えています。

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