INTERVIEW
SNSでシェアしたくなるトイレ。国際的建築家が「GALLERY TOTO」をつくった理由
橋田光明(TOTO株式会社) / アストリッド・クライン(クライン ダイサム アーキテクツ) / マーク・ダイサム(クライン ダイサム アーキテクツ)

INFORMATION

2017.02.17

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“人は押しつけがましいと引いてしまう。本当にいいもので気に入ったなら、自分で調べるでしょう。(クライン)

HIP:「GALLERY TOTO」には、具体的にどういった工夫を施したのでしょうか。

ダイサム:「GALLERY TOTOはガラス張りの空間。そこに、テイストがまったく異なる男女4つのトイレブースと多目的トイレブース、授乳室の計10ブースが設置されています。もちろん、ブース自体はガラス張りではないので安心してください(笑)。ただ、ブースから出ると飛行機が並んでいる駐機場が見える。みんな面白がって写真を撮りSNSなどにアップしてくれます。それを見た他の観光客が「ちょっと見てみたい」と思う。これも狙い通りです。

「GALLERY TOTO」 (C) DAICI ANO

HIP:興味を引くという意味では、入り口の大型LEDパネルも目立っていますね。

ダイサム:「GALLERY TOTO」の手前には、「NARITA SKY LOUNGE 和」というスペースがあります。ここにいる沢山の人に何かしらのエンターテイメントを提供したかった。影絵のようにダンスをする人影なども映しています。それを見ると「ここはディスコなの?」「中で何をやっているのだろう?」と興味が膨らんで、つい足を向けてしまう。ここは楽しい場所だとアピールしたかったのです。

HIP:これだけ斬新なトイレとなると、実現までにさまざまな障害もあったのではありませんか。

橋田:最大の懸念はこのプロジェクトに弊社からは広告宣伝費として費用を投入されていることでした。社内から「広告宣伝なら、どうして商品情報の記載がないんだ」という声があってもおかしくなかった。しかし、それでは単なるショールームになってしまう。KDaの設計によるスタイリッシュな空間をどう扱うか、上層部や関連部門と議論を重ねました。

クライン:説得をするために、スマホで撮影すると使っている便器や洗面台の金額や型番がわかるサイトに移動できるQRコードを設置しました。人は押しつけがましいと引いてしまう。本当にいいもので気に入ったのなら、自分で調べるでしょう。

“良いものをきちんとつくれば、しっかり響くのだと実感しました。(橋田)

橋田:もう一つの説得材料は「GALLERY TOTO」という名称。ここには、「TOTO」という名前が入っていますよね。ならば、それ以外に広告宣伝的なことをする必要はないと割り切ることができたのです。

HIP:空港という公共の場にある公衆トイレに、テナントでもない会社の社名が入るのは珍しいですよね。

橋田:それどころか、成田国際空港さま自ら「GALLERY TOTO」の名前を入れた案内板を制作してくれました。普通、トイレの案内板はピクトグラムだけなんですよ。

クライン:私たちも、ただのトイレではなく作品として「GALLERY TOTO」という名前を入れて欲しいとお願いをしました。

ダイサム:誇りをもって設計をしたからね。

橋田:成田国際空港さまが協力してくださったのは、すべての広告宣伝的要素を排除してデザイン性の高さを際立たせることができたからだと思います。良いものをきちんとつくれば、しっかり響くのだと実感しました。

クライン ダイサム アーキテクツが考える、日本のトイレ文化を世界に広めるために必要なものとは?

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