「チャラ男と根回しオヤジのタッグ」こそ、企業イノベーションの源泉だ!
HIP:人事評価はどうされているのですか。
津田:ここは全社と同じ評価制度なのですが、こういった特殊な仕事なので、直近だけを評価されても何も成果が出ていない可能性があります。
なので、そもそも既存の制度では評価しきれない面があることを人事や経営陣に理解してもらいつつ、「チャレンジは加点しよう」というルールになっています。
HIP:DD-Labのような組織で、力を伸ばしていく人の特徴があるとすればなんでしょうか?
津田:慶応義塾大学大学院の前野隆司教授が「イノベーションを起こせる人は幸せな人」とおっしゃっていたのですが、本当にそのとおりだなと思います。
忙しくて疲弊感が漂っている人の周りからはイノベーションは生まれないと思いますし、幸せな精神状態じゃないと新しい発想を取り入れようという気持ちになれないですよね。
HIP:アブラハム・マズロー(アメリカの心理学者)の「欲求5段階説」のように、まずは担当者の根源的な欲求が満たされていることが重要だと。
津田:そうです。あと、まったく新しいことに挑戦するには、鈍感力のようなものも必要だと思います。「あの部署が気にするんじゃないか」とか、「これって予算がつくの?」とか、考えすぎないことが重要かなと。
チーム発足当初は、他部署の社員に「遊んでいられていいよね」と冗談半分で言われたこともありますが、そんなコメントも一切気にしないで突き進めるタイプがいい(笑)。
「ANAアバタープロジェクト」のディレクターをしている深堀がわかりやすい例かもしれませんが、ある意味「勝手に」というか、どんどん自分で動いてかたちにしていけるタイプが向いているのかもしれません。
HIP:個性的なメンバーと、それを受け入れる津田さんのコラボレーションが、DD-Labのイノベーティブな環境を生み出しているわけですね。
津田:早稲田大学の入山章栄准教授が提唱している「チャラ男と根回しオヤジのタッグこそ、企業イノベーションの源泉だ!」という言葉も意識しています。
目立ちたがりでフットワークの軽いチャラ男が、いろんなところに首を突っ込み、人を巻き込んで、ときには軋轢も生んでくる(笑)。でも、それを根回しでフォローできるオヤジがいれば、大企業のなかでもイノベーションが生まれやすい。本当にそのとおりだなと実感しています。損な役回りだと思いながらも、この言葉をことあるごとに思い返すようにしていますね。