INTERVIEW
若手、中堅が社内変革を起こすには?『HIP Fireside Chat 2019』レポ
児玉太郎 / 山川恭弘 / 小松原威 / 松谷卓也 / 渡瀬ひろみ / 石井芳明 / 榊原健太郎

INFORMATION

2019.04.19

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日本の大企業はイノベーションに適さない。その現実をまずは認識すべき

セカンドセッションのテーマは「大企業発のイノベーションのつくり方」。登壇者は、プロジェクトニッポンの代表取締役 松谷卓也氏、そしてアーレアの代表取締役を務める渡瀬ひろみ氏だ。

プロジェクトニッポンは、松谷氏がリクルート在籍時に、経済産業省後援事業として発足したプロジェクト。現在は、アジア最大級を誇る、企業とスタートアップの協業マッチングイベント『イノベーションリーダーズサミット』を主催している。一方の渡瀬氏もリクルート出身で、『ゼクシィ』をはじめ数々の新規事業を起ち上げたのちに独立し、大手企業向け新規事業コンサルティングのアーレアを起業した。

児玉:ずばり、日本の大企業の課題とは?

松谷卓也氏(以下、松谷):経営者が内部昇格なので、成長にコミットしなくてもいいし、株主も優しい。イノベーションを起こさないほうが、効率的に進むようにできているんです。逆にいえば、既存事業をドライブさせることに最適化した組織といえるのではないでしょうか。

プロジェクトニッポン 代表取締役 松谷卓也氏

渡瀬ひろみ氏(以下、渡瀬):いまの大手企業の経営層は、経済成長期のビジネスを経験した世代。当時、既存事業の成長を中心プレイヤーとして担い、0から1を生み出した経験がないような方がほとんどです。つまり、失敗の経験がないということ。だから意志決定に時間がかかるし、成長のスピード感ではスタートアップに劣ります。大企業はこれに危機をもつべきです。

アーレア 代表取締役 渡瀬ひろみ氏

必要なのは「謙虚な経営者」。成功体験にしばられない組織をつくるには?

こうした厳しい意見に対し、「そんななかでも、イノベーションを実現できている企業もあるはず」と児玉氏。そういった企業にはどんな特徴があるのだろうか。

松谷:まずはトップが危機感を持って、はっきりとしたビジョンと戦略を掲げることですよね。そしてそれを株主や従業員に浸透させ、大胆に実現していくリーダーシップ。例えばリクルートにもそれがあります。また、リクルートは人の入れ替わりも激しいですが、こうした人材の流動性も重要ですね。

渡瀬:経営陣が柔らかい頭を持つことは大事だと思います。たとえばいまの時代、スマホを使いこなせない経営陣では、世の中のニーズを適切に捉えて判断できるわけがない。新しいものへの柔軟性が必要ですし、わからないなら現場に任せるといった、謙虚な姿勢も大事です。

「謙虚な経営者」というフレーズを受けて、児玉氏が質問を飛ばす。「経済成長期の成功体験にしばられた経営陣が舵を取る企業は、トップダウンで保守的な風土を変えられるのか」。ここで意外な意見を述べたのが渡瀬氏だ。いわく「経営陣みんなでキャンプに行って、カレーをつくったらどうでしょう」。

渡瀬:キャンプはあくまでたとえですが、共同作業で経営陣同士の横連携ができれば、部下も動きやすくなります。あと、風土を変えるなら、チャレンジすること自体をミッションにしてしまえばいい。成功が続いている会社にとって、失敗は汚点になってしまう。失敗してもいいチャレンジをミッションとして課せば、新しい物事に取り組みやすいと思います。

松谷:風土を変えるには、新規事業担当役員が積極的にスタートアップと会うことが大切だと思います。成果を出している企業は、これをやっている。アメリカでは、新規事業担当役員の最大のミッションは、スタートアップとのつながりをつくることなんですよ。

新規事業の立役者となる若手の心構えとは? ミドルマネジメントはどう動くべき?

児玉氏も、大企業の社員が外に出てスタートアップと交わることの重要性に同意しつつ、日本企業特有の問題点をこう指摘した。

児玉:日本企業の多くは、たとえばシリコンバレーに支店を開設しても、社員がオフィスにこもってしまう。本来は、コワーキングスペースなどで積極的にスタートアップと交わるべきなのに、「セキュリティの問題が……」などの理由をつけて、結局は日本から派遣された社員同士で食事をしたり話をしたり。どうすれば、もっと積極的に外に出て学ぼうという文化、風土をつくれるのでしょうか?

渡瀬:月並みですが、社内の新規事業コンテストなどを小さく始めることではないでしょうか。そうすれば若手も元気になって、世の中の動きや風向きを自らインプットするようになる。そしてアウトプットを行う、その繰り返しでイノベーションは生まれます。

児玉:それでは、逆に若手に対してアドバイスをするとしたら?

松谷:前例に囚われず、自ら手を挙げてハンドルを握るしかないと思います。

渡瀬:たとえ「そんなの商売にならないよ」と言われても、世のために、誰かのためにサービスをつくりたいという気持ちが重要。そういう人には必ず、応援してくれる人が出てくるはずです。そして支援者が多い人こそ、結果的にものごとを実現していく人になる。

経営陣の心構え、若手の志については語られた。それでは、課長や部長などの中間層は、どう動くべきだろうか。

松谷:課長や部長は、30代くらいの若手リーダーが社内で影響力を持てるように、グラウンド整備に徹すること。社長室から社長を引きずり出して、現場に連れて来る役割を担うべきです。スタートアップと交わることで触発され、新規事業創出に積極的になるトップも珍しくありません。

渡瀬:ぜひ、社内ではなく世の中を向いて仕事をしてほしいと思います。世の中を向いていれば、若手から提案を受けたときに、それが経営陣に上げるべきすぐれたアイデアか、もっとブラッシュアップが必要かを賢明に判断できるはずです。自分の人生を活きたものにするためにも、中間管理層にはぜひ「どっち向いて仕事しているの」を自問自答してほしい。

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