アメリカと日本の企業の違いから考える、イノベーティブな日本の未来に必要なこと
HIP:では、アメリカの企業と日本の企業の双方に携わってみて、違いを感じることはありましたか?
児玉:アメリカと日本。働くうえで、この二つは全然違うと思います。例えば、日本では「郷に入っては郷に従え」の精神が一般的ですから、アメリカ人の社員が会社にいれば、その人のアメリカ人としての部分がクローズアップされる。そして、日本でのやり方で統一させようとする傾向がある。アメリカは、その感覚が皆無。仕事において評価されるのは、純粋に個々の成果で、それを邪魔する要素は仕事に持ち込むべからずという意識が徹底されているんです。最低限守るべきルールを守っていれば、独自性を出していくのは大歓迎。だから、さまざまな文化や背景を持った人々が働ける。これこそが海外企業の強みだと思います。ことFacebookの本拠地であるサンフランシスコに関して話すならば、本当にダイバーシティー(多様性)という言葉がぴったりと当てはまります。
HIP:ダイバーシティーは、これからの日本でイノベーションを起こしていくために必要なことでしょうか?
児玉:はい。日本の企業は、今後意識的に固定観念を撤去していく必要があると、僕は考えています。日本には、海外の人よりも自分たちが優れているという不思議な感覚が存在しています。たしかに、サービスやクオリティに目を向ければ、優れているかもしれない。しかし、事業展開のスケールに目を向けてみるとどうでしょうか。海外企業の視線の先には、世界レベルの成功があります。国内での成功の先にあるものを見据えて、ほかの国に進出する勇気や、ほかの国の人と一緒に仕事をする勇気、そのために自分たちの仕組みやルールを作り変える勇気が、今の日本には必要なのではないでしょうか。
HIP:固定観念を取り除いていくには、勇気が必要だと。
児玉:決して不可能なことではないと思います。日本人はとても繊細な感覚を持った人種であるし、相手の気持ちをうまく汲み取れるセンスを持っている。そういうところをもっとプラスに活用することで、世界におけるプレゼンスを示すことができる企業を輩出できるのではないでしょうか。そういった未来をリードしていく人材を育てる場として開かれたのが、僕も関わらせていただいているこの「HIP」です。さまざまな意見を交換して刺激し合い、日本の未来をここから活性化していければと願っています。