INTERVIEW
大阪ガスの若手が牽引。新規事業プログラムから人気アプリtaknalが誕生
富田翔(大阪ガス株式会社 イノベーション推進部 ビジネスインキュベーションチーム) / 青木拓也(大阪ガスマーケティング株式会社 商品技術開発部 リビング電力ソリューションチーム)

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2021.04.09

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ルールのない状態からつくることが、おもしろくなってきた

HIP:富田さんは、もともとガスの製造所などでエンジニアリング業務をされていたそうですね。2018年にイノベーション推進部へ異動した経緯を教えてください。

富田:2017年のTORCHでグランプリを獲ったのがきっかけです。エンジニアもやりがいのある仕事でしたが、自分が発案した「ラムネ」というアイデアを、本気で事業化したいと考えるようになりました。

そこで、2018年にイノベーション推進部が設立されるタイミングに合わせ、異動させてもらったという流れですね。以降はラムネの事業化を進めつつ、TORCHのプログラム設計や運営も行っています。

HIP:グランプリ受賞後、どのように開発を進めていきましたか? 社内でも前例のない事業だけに、苦労された点も多いと思いますが。

富田:おっしゃるとおり、アイデアは採択されたものの、そこから事業化に向けたロードマップはまったくイメージできない状態でした。やり方も決まっていないし、予算がどこから出るかもわからない。それを決めるためのルールや前例もありませんでした。

雑な言い方かもしれませんが、「とりあえずやってみよう」という感じで、社内関係者やTORCHを外部からサポートしてくれているベンチャーキャピタル・WiLの小松原さんなど、社内外の方たちの力もお借りしながら手探りで進めていったかたちですね。

HIP:最初になにからはじめましたか?

富田:まずは1年ほどかけて、徹底的にユーザーテストを行いましたね。社外のデザイナーさんや、新規事業を支援するプロフェッショナルの方々にご指導を受けながらプロトタイプをつくり、実際にユーザーさんに使っていただいてフィードバックを集めました。

そこではユーザーインターフェースの改良だけでなく、「気分を変えたいと思うのはどんなシーンですか?」など、さまざまなヒアリングを行っています。われわれが提供しようとしている「気分転換」という価値に対し、そもそもどれくらいのニーズがあるのかをあらためて調査しながら、じっくりとサービスを設計していきました。

そして、サービスの方向性が固まったところで、私たちの思いに共感いただいたパートナーさんとともにアプリを開発していきました。ただ、そこからもいろいろ苦労しましたね……(笑)。会社がリリースしたことのない類のアプリなので、システム要件やリリース手続き、サービス規約など、自ら基準を設けて決めていかないといけないのです。

HIP:そこは富田さんが、かなり奮闘して道を切り開いてきたわけですね。

富田:そうですね。大変ではありましたが、さまざまな方に助けていただき、社内外で学びつつ、上司にも掛け合って説得しながら、一つひとつクリアしていったという感じです。

WiLをはじめ社外のメンターの方々にも「とにかくユーザーの声に向き合いなさい」というアドバイスを繰り返しいただきました。ご相談をするたびに、新たな学びや気づきを与えてくださるので、機会があれば、活用させていただいていました。

最近では、私も感覚がマヒしてきたのか、先が見えない暗闇を進んでいくようなプロジェクトの進め方が当たり前だと感じてきていて、あらかじめルールが決まっているほうが気持ち悪いと感じるようになってきました(笑)。まあ、そもそも新規事業ってそういうものなのかもしれませんが。

ともあれ、TORCHがスタートしてから4年が経ち、ラムネとtaknalはリリースまでこぎつけることができました。まだまだ事業化に向けて課題は山積みですが、スタートラインには立てたのかなと思います。

HIP:taknalに関しても、ラムネと同じルートで開発を進めたのでしょうか?

青木:そうです。富田が先陣を切って道を切り開いてくれたので、私たちはそこをたどりながらアイデアをかたちにしていくことができました。

コンテストを通過した当初は、社内でも「本当にやれるの?」みたいな意見もありましたが、実際にアプリがリリースされ、周囲の期待感も高まっていますし、応援してもらえることが増えたと感じます。

HIP:青木さんはイノベーション推進部ではなく、別の部署の業務を持ちつつtaknalにも取り組んでいるわけですよね。これから事業化を目指すにあたり、兼業では限界がありませんか?

青木:正直、まだ一歩目を踏み出したに過ぎないのでどうなるかわかりませんが、本業と並行しつつ頑張っていきたいと考えています。

富田:ちなみに、コンテストで優勝した人には、イノベーション推進部に異動できる権利が与えられています。ただ、青木のように現在の部署の仕事も頑張りたい人もいるので、強制ではありません。あくまで、本人の意向や部署の状況などに合わせ、個別に調整するというかたちですね。

異動に限らず、コンテスト通過後の発案者の関わり方はさまざまです。事務局として、その方々にあったサポートを心がけており、ある程度フレキシブルに対応できる制度にしています。

社内のイノベーション活動を牽引するプログラムに

HIP:サービスの今後について教えてください。まずは青木さん、これからtaknalをどんなサービスにしていきたいですか?

青木:taknalはユーザーさんが増えれば増えるほど、楽しさが増すアプリです。新しい本に出会い、それを購入するというだけでなく、本を読んだことをきっかけに生まれる新しい行動をサポートするような機能が追加できたらと思います。

また、ゆくゆくは売上を生み出すビジネスモデルに育てるためにtaknalを通じたイベントも開催したいです。たとえば、実際の書店にユーザーさんを集めて、リアルにオススメの本を交換し合うなど、本が好きなユーザーを巻き込んだ仕掛けを考えていきたいですね。

HIP:では、最後に富田さん、TORCHの展望をお聞かせください。

富田:まずはTORCHから生まれたアイデアをひとつでも多くかたちにし、事業化していくこと。そして、もうひとつはこのプログラムの継続を通じて大阪ガス全体のイノベーション活動を牽引していきたいと考えています。

TORCHに参加し、価値のあるワークショップを受け、たとえコンテストを通過できなくても、そこで得た知見を自分の部署に持ち帰って業務に活かしていく。そうなれば、イノベーション推進部だけでなくさまざまな部署からも新しい取り組みやサービスがどんどん出てくるはずです。そんな循環の起点となるプログラムにしていきたいですね。

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Profile

プロフィール

富田翔(大阪ガス株式会社 イノベーション推進部 ビジネスインキュベーションチーム)

taknalの事業責任者。全社の新規事業創造プログラムを運営しながら、複数事業の開発に従事。好きな本のジャンルはビジネス書。

https://ramune.app/
青木拓也(大阪ガスマーケティング株式会社 商品技術開発部 リビング電力ソリューションチーム)

taknalの開発責任者。普段の業務では、IoT技術を活用したガス機器・電力関連の新サービス開発に従事。好きな本のジャンルは推理小説。

https://taknal.app/

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