スタートアップの悩み解決から始まったCVC。関係構築ノウハウを代表に聞く
三浦義昭(株式会社クレディセゾン 常務取締役 営業推進事業部長(兼)アフィニティ営業1部 担当 / 株式会社セゾン・ベンチャーズ 代表取締役社長)
2018.12.28

投資を始めてしばらく経つと、スタートアップに対する評価は厳しくなりがち。でもそれでは、CVCとして本末転倒ですよね。

HIP:セゾン・ベンチャーズを設立して3年近くが経ちますが、スタートアップ投資を進めるなかで苦労されたポイントはありますか。

三浦:2年目に苦しんで、いまはそこから改善を重ねている最中です。2015年の6月に会社を設立後は、翌年の3月までに約10社に投資するというスピード感で進めました。目的は事業シナジーなので、それぞれの企業に担当者をつけ、定例会などを行いながら丁寧に協業の道を探りました。それを続けているうちに、現場のスタッフの業務負荷がかかりすぎ、新しい投資先を見つけることに時間を割けなくなっていました。

HIP:皆さん、本業もありますしね。

三浦:そうなんです。加えて、投資を始めて1年くらい経つと、事業が順調なスタートアップもあれば、そうでない会社も出てくる。最初は「この企業にも投資しましょう!」と意気込んでいたメンバーが「この事業はスケールしないんじゃないですか」などと言いはじめ、新たな投資に消極的な雰囲気が蔓延していました。

そこでメンバーを招集し「投資が継続できないならば、セゾン・ベンチャーズを解散しようか」と伝えたんです。そうしたらみんな血相を変えてやって来て。あらためて議論し合ったことで、参加するメンバーの意識が変わっていきました。

投資を始めてさまざまな事例を見ていると、どうしてもスタートアップに対する評価は厳しくなってしまう。でもそれでは、クレディセゾン本体でデューデリジェンスを行っている状態にどんどん近づいてしまい、本末転倒ですよね。基準を是正して再出発し、4年目に突入した現在では、投資の件数も順調に増え、スタートアップとの向き合い方も改善されてきています。

大切なのは、事業シナジーを追求すること。そのためには、社内の巻き込みが不可欠です。

HIP:CVC立ち上げ時に社長が「失敗の経験を積め」とおっしゃったとおり、さまざまな課題を乗り越えてきたのですね。いまもなお、スタートアップとの協業において課題に感じているポイントはありますか?

三浦:大きく2つほどあります。まずは、現場を動かす難しさ。スタートアップとの協業がもたらす事業シナジーの重要性を、全国の営業拠点に至るまで、全社に理解・浸透させるには相当の時間がかかります。

HIP:もう一つは何でしょうか?

三浦:事業連携に重きを置いているとはいいながら、現段階ではまだ、シナジーがかたちになっている事例が少ないことが課題だと感じています。いまは「オープンイノベーション」が流行りですから、どの企業でもCVCの立ち上げ自体はおそらくスムーズにいくと思います。しかし真に向き合うべきは、その後きちんと成果を生めるかどうか。そのためには、社内の事業部門をいかに巻き込んでいくかが重要です。

ときどき他社でCVCに取り組んでいる方からも、「投資部門ではぜひ事業連携したいと考えても、実際にそれを担当する事業部門を動かすのが難しい」という悩みを聞くことがあります。そんなときは、ある部門がダメなら、ほかの部門に頼んでみるというのも一つの方法かもしれません。

弊社では2018年、QRコード決済のスタートアップ企業Origamiと協働し「セゾンOrigami Pay」という新サービスを立ち上げました。決済に関する業務なので通常であればカード事業部門の担当になるのですが、そのときはよりリテラシーが高いインターネット関連の部署に依頼しました。そしてかたちになったタイミングで、担当チームごとカード事業部に移管するという方法をとりました。

「セゾンカード」のウェブサイトより

HIP:CVC本来の目的に立ち返り、さまざまな方法で事業シナジーに向き合い続けることが大切ということですね。

三浦:とはいえ事業連携がうまくいかなかった場合に「投資した資金も回収不能になった」では、「CVCを畳みましょう」という話に直結してしまう。リスクヘッジとして、ある程度はリターンを想定して投資することも大事です。

HIP:CVCを運営するうえで、ほかに重要だと感じているポイントはありますか?

三浦:LPとしてもできるだけ投資したほうがいいと考えています。私たちはCVCを設立したいまでも、いくつかのVCにはLPとして参加しています。特にセゾン・ベンチャーズには投資の専門家がいるわけではないですから、VCのネットワークから入ってくる情報は大変貴重なんですよ。

Profile

プロフィール

三浦義昭(株式会社クレディセゾン 常務取締役 営業推進事業部長(兼)アフィニティ営業1部 担当 / 株式会社セゾン・ベンチャーズ 代表取締役社長)

1990年入社。神奈川支店長、静銀セゾンカード代表取締役副社長、ネット事業部長などを経て、2016年取締役就任。2018年3月より現職。

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