東京をもっと「Playable City(遊び心のある都市)」にするには?— Innovative City Forumレポート(1)
クレア・レディントン(Watershed クリエイティブディレクター) / アンナ・グライペル(Laboratory for Architectural Experiments(LAX)建築家) / 若林恵(『WIRED』日本版 編集長) ほか
2015.11.14

都市を「Playable」にするために、テクノロジーは不可欠?

Watershedは自分たちで仕掛けるだけではなく、「Playable」なプロジェクトを表彰する「Playable City Award」を毎年実施している。2015年度に受賞したプロジェクト「Urbanimals」を手掛けたのは、同セッションにゲストとして登壇したLaboratory for Architectural Experiments(LAX)というユニットで活動する建築家のアンナ・グライペル氏だ。

アンナ「『Play』を持ちこむことで、街のポテンシャルを変えることが私たちの活動です。そのために日々考えているのは、新しいテクノロジーをどう使うか。テクノロジーを用いることで、都市にいる人たちをつなげ、『慣れ』をなくすことにチャレンジしています。」

人間というのは慣れていく生き物だ。同じ都市に暮らし続ければ、日々通る道も見慣れていき、次第に街の風景に見向きもしなくなってしまう。それに対しLAXは、テクノロジーを用いて刺激を与え、街の新たな側面を見せていくことで、人々の慣れをリセットすることに挑戦した。

Urbanimals

「Urbanimals」は、ブリストルの街中にイルカ、うさぎ、カンガルー、カブトムシの4種類の動物を出現させたプロジェクトだ。それぞれの動物にはメッセージが込められており、街行く人たちに立ち止まり、考え直すきっかけを与えた。

若林「子どものころは、街のあちこちにある道路や壁が遊び場でしたよね。そこにボールを投げて遊んだりして、インタラクションがあった。空間の新しい使い方を考え多層的に捉えていくことで、普段の風景を見直し、都市の見方を変えられる可能性があります。」

若林氏がそう自身の経験を振り返った後、登壇者たちは「テクノロジーはどう使うべきか?」というテーマについて話し合った。

左から、齋藤精一氏、クレア・レディントン氏、若林恵氏、アンナ・グライペル氏、セバスティアン・ドビス氏

クレア「テクノロジーは実現したいことを可能にするためには、必要不可欠。でも、いかにもテクノロジーを使っているような仕組みにするなど、技術をメインにすべきではないと思います。」

齋藤「スマホもSuicaも、テクノロジーですよね。だけど、使っている人々はその技術についてわかっていない。表現のために新しいテクノロジーを生み出すのではなくて、すでにあるテクノロジーを違う使い方で表現すると良いのではないでしょうか。」

テクノロジーは全面に押し出さず、あくまでツールとして用いるものであることを主張するゲストが多かった一方で、LAXのセバスティアン・ドビス氏の意見は少し異なっていた。

セバスティアン「テクノロジーは隠すべきではないと思います。テクノロジーは無意識で使うべきである一方で、意識すべきものもあると私は考えています。人々はユーザーではなく、クリエイター。テクノロジーを人々に見せていけば、彼ら一人ひとりがその仕組みをどう使うかを考え、新たに何かを作りだすことができます。」

「Go crazy first(まずアイデアを)」「Then, make it feasible?(で、どう実現する?)」

六本木アートナイトに合わせて東京で「Playable City」のワークショップを開催した際には、さまざまなアイデアが生まれたという。齋藤氏はワークショップで「Go crazy first(まずアイデアを)」というキーワードを重視したそうだが、一方で「Then, make it feasible?(で、どう実現する?)」という言葉も大切にしなくてはならないと語った。ブリストルで多くのプロジェクトを実施してきたWatershedでは、どのようにしてアイデアを形にしてきたのだろう。

クレア「都市でプロジェクトを実施する場合は、権力の問題や複雑な手続きなど大変なことが多く、それはブリストルでも変わりません。ただ、私たちには市長や市民とのやりとりも大事にしました。」

©British Council, photo by Kenichi Aikawa

都市で物事を動かしていくためには、仲間の存在が重要になる。Watershedではカフェ・バーも運営しており、ここに集まる仲間たちもプロジェクトに参加することがあるという。齋藤氏は「東京にはWatershedのような人々が集まっている場所が不足している。Watershedのカフェ・バーのような場所が必要なのではないか」とコメントした。

また、企業や自治体といった組織を説得していくためには、仲間の存在に加えてもうひとつ必要なものがあるとクレア氏は語る。

クレア「直接的なメリットではなく、自分たちもこの活動に投資をしていて、シティブランディングや人々のアテンションを獲得することにつながっていく、といった間接的な効果を語るようにしています。お金を出してもらうためにはミッションが中核にあることが必要です。」

都市を動かすにはミッションが必要。2020年のオリンピックを控えた東京が都市を動かしていくためには、どのようなミッションを提示していくべきなのだろうか。

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