「決まったやり方」を当てはめず、経験のなかから最適な手段を選択します。
HIP:大企業からベンチャーに移った近田さんにとって、一番新鮮だった体験があれば教えてください。
近田:やはり、代表の清水との距離が近いことですね。大企業ではトップと直接話す機会なんてほとんどないですから。
それと、全体会議の際に、清水が話題にするネタのチョイスや話し方がとても面白くて。人を惹きつけるトーク力にも衝撃を受けました。清水の話を聞いた社員全員のモチベーションに、火が灯る瞬間を何度も目の当たりにしました。自分も部長として部下を引っ張る立場なので、清水の話術を間近で聞いているだけでも、学びは多いです。
増田:清水のように、具体的に未来を見据えて「俺はこうしていきたいんだ」という明確なビジョンを、きっぱりと提示するトップはなかなかいないですからね。ギリアとしての文化や思想を全社員に浸透させてしまう清水のモチベート力は、本当にすごいです。
いま、ギリア流の文化として浸透しているのが、「目標に向かって、とにかくすぐにやってみよう」という考え方。ロジカルな目標の立て方や、それを実現するための組織力はソニー流、意思決定と制作スピードの早さはUEI流。両社の持つ価値がうまく融合して、ギリアの文化が成り立っていると感じています。
HIP:清水さんの発信力もあり、ギリア流の考え方や文化が浸透していったんですね。ギリアで働くなかで、ご自身の意識や考え方に変化は出てきましたか?
増田:「決断力」を一層強くしようと意識しています。組織をマネジメントする立場なので、自分のジャッジが遅れると部署や会社の意思決定も遅くなってしまいます。ギリアのウリである「スピード感」を守るため、判断を素早く的確に行うことは、つねに心がけています。
近田:ぼくは、大企業でやってきたことを全部捨てるのではなく、そのなかで使えるものや考え方を取捨選択することを意識しています。
大企業では極端にいうと、仕事の仕方がある程度マニュアル化されていることもあります。その設計に従ってやれば、一定の成功を担保できるシステムになっているんです。
一方、ベンチャーにはそういったマニュアルはない。だからこそ、課題に対して「決まったやり方」を当てはめるのではなく、培った経験のなかから最適かつ最短で対処できる方法を選択するようにしています。
AIで人間の機能を拡張し、多くの人の幸せにつなげることがギリアのミッション。
HIP:ギリア設立時に掲げられたミッションは、本格的なAI時代の到来をにらみ、あらゆる人が自在にAIを使いこなせる「総合AIプラットホーム」をつくることだと伺いました。現在のAI事業の動向はいかがでしょうか?
増田:最近のトレンドとして、「AIを使って新たな取り組みをしたい」という企業が増えています。そういった企業のニーズを深掘りして、AIとの親和性がありそうな課題に対して提案を行い、開発や実証実験を進めています。
近田:これまでのギリアは、ゼロから会社を組織化するフェーズにいました。しかし、ようやく最近、多くの企業の案件を同時にこなせる組織体制ができつつあります。AIへの関心がますます高まるなかで、クライアントの持つさまざまな課題にしっかりと対応できるよう、さらに体制を強化していきたいと思っています。
増田:他社と比較した際の弊社の大きな強みは、実証実験からサービスの開発まで通しでできること。さらに、AIにとって重要であるデータ分析なども外注しておらず、グループ各社で専門の機能を持っています。これにより、安心感とスピード感のある開発が可能です。
今年の目標としては、実証実験のフェーズからステップアップし、実際のサービスにAIを導入できるクライアント数を増やしていきたいですね。
HIP:ギリアが目指している「総合AIプラットフォーム開発」が実現した際、企業や社会はどのようなメリットを得られるのでしょうか。
増田:一番のメリットは「人間の機能を拡張できる」ことです。たとえば、仕事でわからないことがあった際、「詳しそうだから」と、社内の人に聞いて解決しようとすることがよくありますよね。でも、その人が辞めたらどうするのでしょうか。このように、ナレッジの共有をする際、属人的になってしまう部分が結構あるんです。
総合AIプラットフォームが企業に導入されれば、社員が持つ知識や知恵がすぐに取り出せるようになる。それを使ってよりよい製品やサービスがつくれれば、最終的には消費者の幸せにもつながります。AIの力で人間の機能を拡張し、多くの人の幸せにつなげていくことが、私たちのミッションです。