児玉太郎、佐々木紀彦、杉浦太一が注目する人とは? 『HIP Fireside Chat』前編
児玉 太郎(HIPアドバイザー / アンカースター株式会社 代表取締役)/黒飛功二朗(株式会社運動通信社 / スポーツブル 代表)/佐々木紀彦(株式会社ニューズピックス 取締役 / NewsPicks編集長)/大室正志(医療法人 同友会 産業医室)/杉浦太一 (株式会社CINRA 代表取締役)/谷川佳(株式会社エル・エス・ピー OWNERS運営責任者)
2017.03.21

佐々木紀彦(NewsPicks)×大室正志(産業医) 単純に残業をゼロにすれば「働き方改革」ではない

続いて登壇したのは、HIPではおなじみのNewsPicks編集長の佐々木紀彦氏だ。NewsPicksは各界の識者たちがプロピッカーという肩書きでニュースにコメントしたり、記事を寄稿するメディア。なかでも、編集長の佐々木氏が「プロピッカーのなかでも一番面白く、教養のある方」として紹介したのが産業医の大室正志氏だ。

佐々木氏が、2017年の明白なキーワードとして挙げるのが、安部政権でも叫ばれる「働き方改革」。長時間労働が社会問題として取り沙汰されるなか、約30社の産業医を務める大室氏が具体例を交えながら日本の働き方改革を推進するための処方箋を示していった。

佐々木紀彦氏(左)、大室正志氏(右)

佐々木:産業医の視点から、企業の長時間労働をなくしていくためは、個人としてどういうことできると考えていますでしょうか?

大室:長時間労働をなくすことは、生産性を上げることとセットで議論すべきです。具体的にはメールから枕詞をなくし、あくまで用件だけで済ませる。社内向けの資料であればベタ打ちでもいいから、体裁を整えることをやめる。会議も本当に必要のあるものだけに出席をする。このように身近な行動の生産性を見直すことですね。

佐々木:マスメディアにおいて発せられる意見には「残業さえゼロにすればいい」といった論調も多いように感じています。でも、日本の働き方の問題は、ただ単に労働時間のことだけではないと思います。プラスの意味での働き方改革を考えたとき、何がポイントになりますか?

佐々木紀彦氏

大室:体に悪い働き方は大きく分けて2つあります。一つは残業。人間には脳のバッテリーが存在し、その持続時間には限りがあるので、睡眠でバッテリーを回復することが大切です。あくまでも人類の平均ですが、睡眠時間が5時間を切ったあたりから突然死のリスクも高まりますし、翌日に疲れを残す確率がとても上がります。

もう一つが裁量権です。睡眠時間の問題以上に脳のバッテリーを消費するのがこの問題です。たとえば、『踊る!さんま御殿!!』(日本テレビ系)という、芸人の明石家さんまさんが仕切っているバラエティー番組を思い浮かべてみてください。おそらくひな壇に座っている若手芸人の10倍はさんまさんが喋っているはずです。

でも「さんまさんは若手芸人の10倍仕事しているから、彼らよりも大変なんだ」と思ったら、上司としてセンスはないんですよね。なぜなら、明らかにいつ当てられるかわからないプレッシャーにさらされている人たちのほうが疲れるに決まっているからです。これがいわゆる裁量権が奪われた状態です。だから佐々木さんのように自分の好きなようにやりたい人はいっぱい働いても平気といえます。

大室氏は、定時に帰宅できる入社直後の研修期間にメンタル不調で休んだり、辞めてしまったりするケースを最近5、6年の間に多くの会社で見てきたという。なぜそういったケースが増えてきたのかというと、いまの若い世代は、部活動の上下関係など、自分と立場の違う人と接することに対して慣れていないからだと大室氏は説明する。

大室正志氏

「コーチと教え子の差が明確な『巨人の星』ではなく、みんながフラットに活躍する『ワンピース』の世界観」と、新旧の漫画作品で大室氏が時代性をたとえるように、若い世代は立場や職位が違う人とのつながりができた瞬間に疲れを感じてしまうそうだ。そうなった場合、世代の違う上司にできることは「はやく帰っていいよ」とシンプルに言ってあげることにほかならないのだとか。

佐々木:上司は「下の世代は自分たちとは違う常識を持っている」ことを受け入れるべきということですね。とはいえ、そうしたリテラシーを持たない上司に当たった場合はどのように自分を守ればいいですか?

大室:状況が変えられない場合は、第三者に相談をするというやり方が一つあります。人間も動物ですので、どうしても辛いことはあります。風邪をひきやすい体質は一朝一夕には変わりませんが、風邪をひきそうになったら「今日は葛根湯を飲んで寝よう」といった対策はできますよね。もう一つは中長期的にみて、風邪をひきにくい体質を作ること。ストレスを溜めないように、脳のバッテリーを減らしにくい体質を作っていくということです。

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