6歳でプログラミングに出会った少女がMake School日本マネージャーになるまで
野村美紀(Make School ジャパン カントリーマネージャー)
2017.09.13

コードが書けるだけではプロダクトは生み出せません。アイデアとデザインがあり、それをかたちにするためにプログラミングがあります。

HIP:Make Schoolでは具体的にどのような活動を行っているのでしょうか。

野村:アメリカのMake Schoolでは2つのカリキュラムがあります。1つはプロのエンジニアを目指す2年間のフルタイムスクール。もう1つは初心者向けに2か月間開講するサマースクールで、ゴールは自分のサービスをApple Storeにローンチすること。期間やゴールこそ異なりますが、どちらも私たちの理念である「プロダクト思考」と「グローバルコミュニティー」が根幹にあります。

HIP:「プロダクト思考」とは、どういったものでしょうか?

野村:代表のジェレミーがMake Schoolを立ち上げたのはマサチューセッツ工科大学(MIT)に在学中のとき。大学ではプログラミングの知識は身についてもプロダクトはつくれないと感じたのがきっかけなんです。そこで、自分が通いたい学校を、自分でつくってしまったんですね。

コードが書けるだけでは、プロダクトは生み出せません。まず、アイデアとデザインがあり、それをかたちにするための手段としてプログラミングがあります。完成後もユーザーインタビューをしたり、マーケティングを考えたりと、ものづくりには多くのプロセスが必要です。

本来、エンジニアはクリエイティブな仕事のはずですが、残念ながら、プロジェクトの一部を制作する下請けのような仕事だと思われがちです。私たちのカリキュラムがApple Storeでの販売までを目指すのも、プログラミング技術だけでなく、プロダクトをつくる人を育てたいからなんです。

当取材はサマースクールの教室があるTechShop Japanにて行われた。取材中、生徒たちの疑問に答える姿も

人種も年齢も多様な人がいるからこそ、イノベーションが起きる。Make Schoolはそう考えています。

HIP:「グローバルコミュニティー」についても詳しくうかがえますでしょうか?

野村:Make Schoolの活動をアメリカ国内だけに留めないことを指します。地域限定でやっていてもイノベーションは起きませんから。サマースクールをアメリカで9都市、アジアは香港、北京、東京の3都市で行っています。次はレバノンでもやる予定です。各地の人材をつなげて、グローバルコミュニティーをつくることをMake Schoolの強みにしようとしています。

HIP:本日はサマースクールの教室があるTechShop Japanにてお話をうかがっていますが、本当にさまざまな年齢のお子さまがいらっしゃいますね。日本で行なっているカリキュラムはどのような内容なのでしょうか。

野村:3週間かけてオリジナルのスマートフォンアプリをつくるのがゴールです。中学生以上だったら誰でも大歓迎で、今回参加している最年長の方は24歳。外国籍の方も来ていて、出身地はそれぞれバラバラ。カリキュラムの最後にある成果発表会はすべて英語で行います。インストラクターには米国Make School出身の現役エンジニアを呼んでいます。

海外から来日中のエンジニアたち

HIP:3週間でアプリがつくれるようになるんですか?

野村:販売はできずとも、簡単な機能のアプリを動かすところまでなら、誰でもできると思いますよ。エンジニアがサポートを行い、すぐに疑問を可決できる環境が整っていますので。なかでも子どもの成長はすごいですよ、本当に。初日はなにもわからずパソコンの前で固まっている子でも、どんどん上達していきますから。

ここでは「国籍も年齢も性別も関係ない。なにをつくれるのかだけを見る」と、最初にマインドセットをするんです。年上だからといって年下に教える必要もありません。24歳が17歳に「これ教えて」と聞くような光景が広がっています。フラットな環境を維持するためMake Schoolにはさまざまなルールがあるんです。

HIP:どんなルールでしょうか?

野村:たとえば「皮肉を言うな」というルール。初めてコードを書いている人が上級者に質問をしたときに「お前はそんなこともわからないの?」と言われてしまったら自由に発言できなくなってしまいますよね。

それから「周りに比べて劣っていると思わない」というルールもあります。これはエンジニアによくある現象で、Googleで働くような優秀なエンジニアさえ「コードを一番書けないのは私だ」と悩みます。どんなに能力が高くてもそう思ってしまうものなので、心配しすぎないようにフォローをします。そして「先生はドラッグしないけれども、プッシュする」。無理やり引きずらず、走り出したら押してあげるという意識で生徒の自主性を重んじます。

HIP:これらは世界共通のルールなんでしょうか?

野村:共通ですね。特にアメリカだと、多様なバックグラウンドの人が集まっていますし、経験値もそれぞれ。ときにはお互いに戦争をし合っている国から生徒がくることもあります。だからこそ、それぞれがフラットに話せるようルールづくりを徹底するんです。

日本でもそのマインドは必要で、ここは自主的でオープンな場だと理解してもらうんです。多様な人がいるからこそ、イノベーションが起きる。Make Schoolはそう考えています。

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目指すのは誰もが気軽にプログラミングを学べる社会。国を超えてサービスを広めるために野村氏が行う「文化の翻訳」とは?

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