INTERVIEW
街でイノベーションに出会う。Meet up @ TORANOMON HILLS初開催
横山貴史 / 土居諒輔 / 海藤早希子(森ビル株式会社 タウンマネジメント事業部運営部虎ノ門ヒルズエリア運営グループ)

INFORMATION

2022.05.23

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2022年5月25日から6月1日まで、虎ノ門ヒルズで『Meet up @ TORANOMON HILLS』が開催される。期間中はエリア全域でイベントやトークセッション、ワークショップが行なわれるほか、「空飛ぶクルマ」の体験展示、『虎ノ門ヒルズヨガ』のプログラムなど、多彩なコンテンツが用意されている。

2014年の森タワー開業以降、「グローバルビジネスセンター」をコンセプトに街づくりが進む虎ノ門ヒルズで、これまで様々なイベントを開催してきたオーガナイザーが一堂に会し、『Meet up @ TORANOMON HILLS』を盛り上げる。いまでは国内外から多種多様なイノベーターやクリエイターが集まり、この場所から次世代の社会に向けた新しいビジネスや価値が生まれようとしている。

今回のイベントはこれまで虎ノ門ヒルズエリアで育まれてきたコミュニティーや取り組みを、対外的にお披露目するためのものでもあるという。そこで、これまで虎ノ門ヒルズのプロジェクトを担ってきた森ビル タウンマネジメント事業部 虎ノ門ヒルズエリア運営グループの横山貴史、土居諒輔、海藤早希子に、虎ノ門エリア開発の歩みを振り返ってもらうとともに、今回の『Meet up @ TORANOMON HILLS』の狙いや具体的な内容を聞いた。


文:榎並紀行(やじろべえ) 写真:玉村敬太

虎ノ門に「働く、住む、遊ぶ、買う、食べる」が揃う。森ビルが描く、街づくりのビジョン

HIP編集部(以下、HIP):虎ノ門ヒルズのプロジェクトでは、これまでどんな開発が行なわれてきたのでしょうか?

横山貴史(以下、横山):プロジェクトのスタートは2014年です。まず、虎ノ門ヒルズの第一弾として「森タワー」が開業しました。このエリアを東西に貫通し、森タワーの地下を走る道路「環状第2号線」と、その地上部である「新虎通り」も虎ノ門ヒルズと一体的に開発されています。

その後、2020年には「虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー」が開業。ここには大企業の新規事業担当者が集まるインキュベーション施設「ARCH」や、日本最大のスタートアップ向けシェアオフィス「CIC Tokyo」などもあります。

さらに、2022年には「虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー」が完成し、ビジネスの機能だけでなく新たに充実した住環境が設けられました。そして、2023年には開発の集大成として日比谷線・虎ノ門ヒルズ駅直結の 「虎ノ門ヒルズ ステーションタワー(仮称)」が開業する予定です。これにより、「働く、住む、遊ぶ、買う、食べる」といった要素が出揃い、2014年から始まった虎ノ門ヒルズのプロジェクトが更に進化・拡大していきます。

森ビル株式会社 タウンマネジメント事業部の横山貴史

HIP:森ビルはかねてから、この虎ノ門エリアに強い思い入れがあったそうですね。

横山:虎ノ門は森ビル創業の地です。また、高度経済成長期には日本の経済を牽引した街でもある。しかし、その後は再開発が進まず、大企業を受け入れるキャパシティーを有するビルが不足していました。結果的に、周囲の街に比べて発展が立ち遅れてしまったんです。

ただ、ポテンシャルは非常に高いエリアです。霞ヶ関の官庁街からも至近ですし、環状第2号線が全面開通することで羽田空港へのアクセスも容易になる。さらに地下鉄の新駅「虎ノ門ヒルズ駅」も開業し、東京BRTのバスターミナルもできるなど、公共交通の重要な拠点として生まれ変わりつつあります。この虎ノ門エリアのプロジェクトを契機に、街の魅力が底上げされていくのではないかと期待しています。

HIP:たしかに、虎ノ門のイメージが大きく変わりましたね。

横山:これまでの虎ノ門は、オーセンティックなオフィス街のイメージが強かったと思います。それが「ビジネスタワー」に「虎ノ門横丁」という東京の予約困難な人気飲食店を誘致したキャッチーな飲食店街を開業したことで、働きに来る人たち以外も虎ノ門を訪れるようになりました。

また、今年の初めに竣工した「レジデンシャルタワー」の住戸への入居が進むことで、この街を拠点に活動する人たちも増えていくでしょう。さらに、来年の「ステーションタワー(仮称)」開業によって店舗も増え、高層階に設置する情報発信拠点ではさまざまなイベントも実施されます。昼夜を問わず、また休日にも虎ノ門に遊びにくる、新しい人の流れもできるはずです。

新しい人の流れが生まれれば、新しい出会いも増え、これまでにないコミュニティーが結びつき、拡大していきます。そこから新しいビジネスや価値が生まれることもあるでしょう。いよいよ、この街のポテンシャルが一気に開花する。そんなステージにきていると思います。

街の価値を高めるには?虎ノ門のエリアマネジメントの課題

HIP:森ビルの街づくりにおいて、タウンマネジメント事業部はどのような役割を担っているのでしょうか?

海藤早希子(以下、海藤):私たちの街づくりは、単にビルを建てて終わりではありません。森ビルは「都市を創り、都市を育む」というコンセプトを掲げており、この「都市を育む」という部分で主たる責任を担っているのが、私たちタウンマネジメント事業部になります。

具体的には、エリア全体のブランディングや街の魅力を高めるサービス設計、さらにはイベントにより街の魅力を発信したり、人と人をつないでコミュニティーを醸成したり、まさに街のマネジメントをする業務ですね。取り組みの最終的なゴールは、街の価値を高め、エリアの磁力を増すことで新たな賑わいや文化を生み出していくことだと考えています。

森ビル株式会社 タウンマネジメント事業部の海藤早希子

HIP:虎ノ門をタウンマネジメントするうえでは、どんな課題がありましたか?

海藤:虎ノ門ヒルズでは2014年に「森タワー」が開業して以降、ビジネス関連のイベントが数多く行なわれてきました。また、ビジネスタワーの完成後は「ARCH」や「CIC Tokyo」を中心に、イノベーションを起こそうとする人たちのコミュニティーも育まれています。

これらは虎ノ門ヒルズエリアにとって大きな資産ですが、現在のところはあまり広く知られていません。対外的にもそうですが、もともと虎ノ門で働いていた人、住んでいた人でさえ、この街でいま起きていることをご存じでないと思います。この点は大きな課題ですね。

ですから、今後は虎ノ門エリアの新しい価値として、こうした良質なコミュニティーの存在を強く打ち出し、知ってもらう機会を増やしていきたい。イベントだったり、虎ノ門ヒルズを拠点とした各コミュニティーを回遊したりできるような仕掛けをつくりたいと思っています。そして、この街のことを好きになってくれる人、訪れる人を増やしていきたいですね。

HIP:それが今回、『Meet up @ TORANOMON HILLS』を開催する目的でもあると。

海藤:そうですね。ただ、先ほどもお話した通り、これまでにもさまざまなイベントはありましたし、コミュニティーも育まれていました。虎ノ門ヒルズは当初から「グローバルビジネスセンター」をコンセプトに掲げ、多種多様な国々、さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが集まり、イノベーションを起こすことを目指してきた場所です。そのため、そうした人たちの新しい出会いを生むようなイベントを推進してきたんです。

例えば、虎ノ門を拠点に多彩なプログラムを提供し、起業家や投資家、研究者、学生といった多様なイノベーターが集い、つながるコミュニティ「Venture Café Tokyo(ベンチャーカフェ東京)」。2018年3月26日に虎ノ門ヒルズで産声を上げ、毎週木曜に実施されているThursday Gatheringは、こうしたイノベーターたちの講演やイノベーションを加速させるワークショップを行なうプログラムで、まもなく200回を迎え、延べ7万人に迫る多くの方々に参加するイベントに成長しました。

ほかにも、イギリスの国立美術大学「Royal College of Art」で行われている、デザイン思考でビジネスを考えていくイベントを開催したり、ここに集まるビジネスパーソンやクリエイターがリフレッシュできるよう、ヨガなどのプログラムも実施しています。

今後はこれらの取り組みを広く発信し、認知度を高めていくことが必要と考え、その最初の試みとして、『Meet up @ TORANOMON HILLS』をトライアル的に開催することを決めました。

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