児玉太郎、佐々木紀彦、杉浦太一が注目する人とは? 『HIP Fireside Chat』前編
児玉 太郎(HIPアドバイザー / アンカースター株式会社 代表取締役)/黒飛功二朗(株式会社運動通信社 / スポーツブル 代表)/佐々木紀彦(株式会社ニューズピックス 取締役 / NewsPicks編集長)/大室正志(医療法人 同友会 産業医室)/杉浦太一 (株式会社CINRA 代表取締役)/谷川佳(株式会社エル・エス・ピー OWNERS運営責任者)
2017.03.21

杉浦太一(CINRA)×谷川佳(OWNERS) インターネットを通じて、「食」の生産者を支えるしくみ

次に登壇したのが、トップバッターに登場した児玉氏とともにHIPを運営している、株式会社CINRA代表・杉浦太一氏。CINRAは音楽・アート・デザイン・映画・演劇のニュースを届けるカルチャーサイト「CINRA.NET」や、アジアを統括するシティガイド「HereNow(ヒアナウ)」といった自社メディアを展開し、カルチャーや旅の力を使って、世界中の人たちに幸せのきっかけを届けることをビジョンに掲げている。

そんな杉浦氏が招いた人は、全国の農家と消費者をつなぐ ウェブプラットフォーム「OWNERS」を展開する株式会社エル・エス・ピーの谷川佳氏だ。地方創生の機運が高まるなかで、民間の個人の情熱から一つの解決策をかたちにしている稀有な事例として杉浦氏は紹介した。

「OWNERS」は「食」を軸に、農業、水産、そして加工品のオーナーになれるというしくみを用いて生産者と消費者を直接つなげるサービスだ。産地や生産者のこだわりをストーリーで紹介し、食材のオーナーになることができる「プラン」をウェブサイトに掲載している。OWNERSでは、単に商品を買うだけではなく、関係までを届けることをコンセプトにしている。

杉浦太一氏(左)、谷川佳氏(右)

新卒で入社した会社で、地域活性のPRや企画に従事していたという谷川氏は「PRや企画は、単発のイベントだけで終わることも多く、生産者と都市部の生活者との経済活動にまで発展せず、もったいないことが多かった」と語る。しかし、ブランド食材ではなくても、生産している人や産地の魅力を伝えることで共感してもらえるのではないかと思い立ち、そうしたことを個人の生産者でも参加できる仕組みとして構想したのがこのOWNERS。現在は、サービスを開始してから1年が経過している。

杉浦:サイトで私たちが選択できるプランの一つひとつに、産地や農家の方々のストーリーが紹介されていて、これがOWNERSのコンテンツにもなっていると思います。このプランは、谷川さんが実際に生産者の人たちを訪ねているんですか?

杉浦太一氏

谷川:立ち上げ当初は、自宅で一人で作っていました。そのときは気になった農家さんや、「この人すごいよ」とか「この地域の人とつながればやりたいことができるよ」という方を人づてに紹介していただいて、とにかく営業を行いました。場合によっては現地に行って、「こういうことを考えています」と企画書を携えて説明を繰り返していましたね。それでも、多くの生産者の方にインターネットには抵抗感が根強くあって、インターネットの「イ」と言っただけで断られてしまうことも多く、最初はかなり敷居の高さを感じました。

たとえば、青森県平川市のりんご生産者が提供するプランがある。1年の最初に代金を支払うことにより、季節に応じて、複数の品種のリンゴが年4回に分けて届く。それも市場ではなかなか買うことができない、生産者が一番納得のいくリンゴが届けられるのだという。各プランには「コミュニケーションぺージ」という生産者と交流できるフォームが用意されており、例えば「リンゴの花が咲きました」といった小さな報告を含めたプロセスも楽しむことができるのだとか。

杉浦:ほんといい仕組みですよね。ちなみに、ビジネスモデルとしてもうまく回っているんですか?

谷川:クラウドファンディングと同じく、売上に対しての手数料というモデルで現在は成り立っています。供給面のボリュームが各プランでまだまだ小さいので、ビジネス的にこの1年間は正直しんどかったです。今後は個人の農家ではなく、産地全体が都市と面で結ばれるためのしくみを考えています。2年目に関しては、OWNERSという価値づくりの1年を経て、本格的な事業展開の方向性が見えてきています。

杉浦:「全国の農家さんを応援する」というビジョンは、きっとみんなが受け入れやすいものですよね。最近はメディアの問題が取り沙汰されていますが、今後サービスを運営していくうえではより一層、谷川さんのようにメディアに情熱や愛情を注いでいく姿勢が求められていくと思います。最後に一言どうぞ!

谷川:いまはモノの豊かさというよりは、自分が何に納得して、どんな背景のモノを食べているのかをお客さんが求めていると感じています。こうしたニーズにお応えできるような、単純なお取り寄せではないしくみに力を入れて作っていきたいと思っています。ぜひ、OWNERSのサイトを一度覗いていただき、気に入ったプランがあれば登録いただければ嬉しいです。

谷川佳氏

『HIP Fireside Chat 2017』では続いて津田大介氏(ジャーナリスト・メディアアクティビスト)、南條史生氏(森美術館館長)、若林恵氏(WIRED日本版 編集長)が登壇。それぞれ社会活動家、メディアアーティスト、写真家といったバラエティーに富んだゲストを紹介し、話が盛り上がりを見せる様子を、中編でお届けする。

Profile

プロフィール

児玉 太郎(HIPアドバイザー / アンカースター株式会社 代表取締役)

1977年生まれ。Yahoo!JAPAN、Facebook Japanを経て、2014年に独立。2015年アンカースター株式会社を立ち上げ。Growth Advisorとして、さまざまな企業の新規事業プロジェクトにて、成長支援を行い、現在は、外資系企業の日本進出支援事業を手掛ける。また、2014年より、HIPのアドバイザーとして、ウェブサイトやイベントの企画運営に参画。

黒飛功二朗(株式会社運動通信社 / スポーツブル 代表)

神戸大学経営学部卒業後、株式会社電通に入社。在職中は放送局の担当を経て、デジタルセクションに所属。大手広告主のデジタルマーケティングのプロデューサー、メディア事業のコンサルタントを経験。その後、Facebook Japan立ち上げに携わり、一年間の出向を経て電通を退社。事業の成長戦略を描き、実現するための会社、リムレット株式会社を設立。同社では、高校野球のリアルタイム中継サービス「バーチャル高校野球」の立ち上げをはじめ、数多くのスポーツ×インターネットの実績を積む。その後、2015年5月に別会社として運動通信社を設立し「スポーツブル」というインターネットスポーツメディアを立ち上げる。

佐々木紀彦(株式会社ニューズピックス 取締役 / NewsPicks編集長)

1979年生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、スタンフォード大学大学院で修士号取得。東洋経済新報社で自動車、IT業界などの担当を経て、2012年11月、「東洋経済オンライン」編集長に就任。リニューアルから4か月でビジネス誌系サイトNo.1に導く。2014年より現職。「NewsPicks」編集長業務と合わせて、ビジネスモデルの開発などに取り組む。

大室正志(医療法人 同友会 産業医室)

産業医科大学医学部医学科卒業。ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社統括産業医を経て現職。約30社の産業医を務める。メンタルヘルス対策や生活習慣病対策など企業における健康リスク低減に従事。共著に『使える!健康教育・労働衛生教育35選』(日本労務研究社)、「産業医と弁護士が解決する 社員のメンタルヘルス問題」(中央経済社)がある。

杉浦太一 (株式会社CINRA 代表取締役)

1982年生まれ。2003年の大学在学中に学生団体「CINRA」を立ち上げ、2006年に同団体を法人化、株式会社CINRA代表取締役に就任。アート、デザイン、音楽、映画など日本のカルチャー情報サイト「CINRA.NET」や、アジアを中心とした多言語発信クリエイティブシティガイド「HereNow」どの自社メディアの運営、官公庁や行政、企業のウェブメディア制作・運営、海外情報発信などに従事する。

谷川佳(株式会社エル・エス・ピー OWNERS運営責任者)

1987年大阪生まれ。大学卒業後、PR会社にて地域ブランディング・企画事業に従事。その後オーナー制度プラットフォーム「OWNERS(オーナーズ)」を構想し、退職。半年間の準備期間を経て、2015年12月にサービスをローンチ。全国の生産者や事業者と関わりながら、食を通した新たなライフスタイル提案を行っている。

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