ドローンによる「空の産業革命」で、人々の生活はこう変わる。HIP conferenceレポート
齋藤精一(株式会社ライゾマティクス代表取締役 / クリエイティブ&テクニカルディレクター)
2018.03.15

ドローンもIoT技術の一つであって、単体でビジネスができるわけではないんですよ。

単独プレゼンテーションが終わり、最後は坂本氏、瀧川氏、松木氏の三名によるクロストークセッションがはじまった。今後ドローン社会を実現するためには、どうやって消費者の元に届けていくかが課題になると、坂本氏は語気を強めた。

松木:ドローン事業をはじめて驚いたのは、IT業界の人が全然いないんですよね。測量とかの分野から広がりはじめたので、そういう業界の人が多くって、IT化がまだされていない。われわれのようにプラットフォームをつくっても、アプリケーションの開発に取り組んでいる人がいないのは課題ですね。今後はドローンにAIやビックデータなどの技術を組み合わせるとか、ITの流れを理解してビジネスを組み合わせていく動きが活発化すると思います。

瀧川:AIとビックデータは要注目の技術ですね。ハードウェアの開発は資本が必要だから、どうしても大企業さんが進めていくことになりますよね。ITベンチャーさんなんかは、ハードウェアのメーカーと接点がないのかなと思いますが、そこが組み合わさっていければ面白くなりそうです。

坂本:そうした技術を結ぶハブとなれる人が重要ですよね。ぼくはいろんな大学で機械や工学を学んでいる学生に授業をさせていただいているのですが、そういった活動をしているのは専門性を突き詰める方々にIT分野の柔軟なものの考え方を知ってもらい、専門性をビジネスにどう活かしていけるかを知ってもらうためです。ドローンに限らず、専門分野を持っている人が積極的にほかの分野やビジネスモデルを掛け合わせて事業をつくっていける世の中になると、社会がより豊かになるのではないかと思っています。

領域を横断する人間がドローンの未来を切り開いていくと壇上の全員が口を揃えたところで、トークセッションはいよいよ終盤に差し掛かる。最後は三名がそれぞれ描く5年後の未来像を語り、イベントは盛況のうちに幕を閉じた。

瀧川:弊社は「スカパーJSAT」からの出資を受けているので、最終的には映像分野にも入っていくと思いますけど、野望としては衛星通信の利用があります。映像に関しては、これまでの事業経験から、消費者の需要もある程度見えております。そうしたリソースを利用してサービスをつくっていきたいですね。

松木:ドローンはIoT技術のひとつだと捉えることが大事で、単体でビジネスができることはないんですよ。ドローン以外のデバイスを組み合わせてようやく1つのサービスができあがるわけです。なので、いろんな会社と協力しつつ、必要な仲間を集めていければと思いますね。かつて日本のドローン業界は遅れているといわれていたのですが、いまや世界的にリードしています。ドローン社会は遠くないと思いますね。

坂本:ドローンは、映像撮影からはじまって、農薬散布やインフラ施設の点検などに使われています。ですが、まだまだどんな使われ方をしているか明確に想像してもらえない部分が多く、せっかく注目してもらったのに機会損失をしていることも多いと思うんです。

いろんな人がドローンを活用するために必要なソフトウェアとユーザーインターフェースに触れて、利用シーンが想像できるようになれば、インターネットと同じようにドローンが個人や産業へもっと浸透するでしょう。ORSOではARを使ってゲーム感覚で操縦技能をスコア化し、継続的にドローンの操縦を学べる「DRONE STAR」というアプリサービスをつくっています。ドローンをどんなことに利活用していけるのか、人々が想像しやすい環境を整備したいと思っています。ソフトウェアからドローンの体験を整備して、日本からグローバル市場を席巻できるような面白いものをつくっていきたいですね。

「DRONE STAR」イメージムービー

Profile

プロフィール

齋藤精一(株式会社ライゾマティクス代表取締役 / クリエイティブ&テクニカルディレクター)

1975年神奈川県生まれ。株式会社ライゾマティクス代表取締役 / クリエイティブ&テクニカルディレクター。建築デザインをコロンビア大学で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。その後ArnellGroupにて活動し、2003年の『越後妻有アートトリエンナーレ』でアーティストに選出されたのをきっかけに帰国。フリーランスでアート制作を行なったのち、2006年にライゾマティクスを設立。建築で培ったロジカルな思考をもとに、アートやコマーシャルの領域で立体作品やインタラクティブ作品を制作する。国内外の広告賞を多数受賞。2015年、アート作品からコミュニティー形成を考えるまちづくりや施設開発等幅広く手がける「Rhizomatiks Architecture」を設立。

坂本義親(株式会社ORSO代表取締役社長、do株式会社取締役、DRONE FUND LP出資 / アドバイザリーボードメンバー)

株式会社ORSO代表取締役社長、do株式会社取締役、DRONE FUND LP出資 / アドバイザリーボードメンバー。2001年よりスマートフォン向けコンテンツ開発やサービス提供、投資に携わる。2014年よりドローン利活用の循環型システムの構築を掲げ、DRONE STAR、drone marketなどひろくドローン事業を推進。慶應義塾大学SFC研究所所員、東京大学大学院工学系研究科 非常勤講師などを務める。専門は安全運航管理、教育、ソフトウェアを使ったビジネスイノベーション。

瀧川正靖(株式会社エンルート代表取締役社長)

株式会社エンルート代表取締役社長。1984年伊藤忠商事株式会社入社。1985年〜92年現在のJSAT(日本初の民間衛星通信事業)の立ち上げ、1994年〜2000年 スカパー!の立ち上げ。その後、伊藤忠商事のコンテンツプロデュース事業を経て、2004年、株式会社石森プロと合弁会社設立、2007年株式会社石森プロ常務取締役、取締副社長、2013年からは音楽ビジネスの株式会社スペースシャワーネットワーク出向、取締役執行役員を歴任。2017年、産業用ドローンのトップブランド株式会社エンルート代表取締役社長

松木友明(KDDI株式会社商品戦略部スマートドローンプロジェクトマネージャー)

KDDI株式会社商品戦略部スマートドローンプロジェクトマネージャー。KDDI在職中に多摩美術大学を卒業し、デザイン / UX観点で携帯電話、スマートフォンの商品企画を推進。デザインケータイ「INFOBAR」や、子供向けスマートウォッチ「mamorino Watch」などの企画、開発を行う。現在は新規事業、商品の企画を担当。先進的なドローン企業との共創により、「スマートドローンプラットフォーム」を開発し、事業化を推進中。

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